ファシリテーション・テクニックを極める当研究所。現場で培ってきた数々のテクニックやノウハウの中から、即効性があるツールを紹介しています。第11回と第12回は、「プロジェクトゴールとCSF(主要成功要因)」を取り上げます。今回は、質の高いプロジェクトゴールとCSFを策定するための手順を紹介します。

ステップ1:いつ検討するか?

 プロジェクトゴールおよびCSFはプロジェクト活動全般の目標、指針となるものですから、プロジェクト・キックオフ後の最初のセッション・テーマとして検討します(図1)。

図1●質の高いプロジェクトゴールとCSFを策定するための手順
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 事前に中長期計画を作成してから個々のプロジェクトを立ち上げるパターンでは、既に計画書の中でプロジェクトの目的、ゴールを設定している事があります。そうした場合はプロジェクト開始後に、改めてコアメンバーとゴールとCSFを精査すべきでしょう。

 何らかの要因でプロジェクトの計画を見直す場合(スコープの変更やスケジュールの変更など)は、プロジェクトゴールとCSFも見直さなければなりません。ゴールとCSFの検討はプロジェクト発足時に限らないのです。もしプロジェクト中にタスクの進め方を見失ったと感じたら、そのタスクのゴールとCSFを改めて定義してみると、進むべき方向性を取り戻せるでしょう。

ステップ2:検討の材料を入手する

 プロジェクトゴールおよびCSFの策定には、そもそもプロジェクトを始めるに至った目的(問題の解決や、新たな挑戦)、プロジェクトが属する事業や会社のミッション/ビジョン、CSFといった情報のインプットが必要です。

 なかでも重要なのは、経営層が抱いているプロジェクトの目的に関する認識・考えや、プロジェクトへの期待値です。これらは事前にインタビューして確認しておくことが大事です。ステークホルダーの重要な期待値を外したままプロジェクトを進めていくと、途中で「待った」「ちゃぶ台返し」になりかねず、そうなると大きな手戻りになってしまいます。

 プロジェクトゴールの策定に限らず、仕事を行う際に相手の期待値を確認することは大事なことです。特にプロジェクトの場合は投入する要員の数や予算が大きいわけですから、十分注意しなければなりません。

ステップ3:だれと討議するか?

 プロジェクト・ゴールおよびCSFは誰と討議して決めればよいのでしょうか。あらゆる層の意見を取り入れようとして参加者を多くすると、議論が発散し、まとまらなくなります。プロジェクトの規模や性格によっても異なりますが、5~7人くらいの人数で集中的に討議して決めるのが良いでしょう。

 討議メンバーには、プロジェクトの実行に携わるメンバー、少なくともプロジェクトマネジャーやチームリーダー、ユーザー部門の代表者は入るべきです。他人が描いたゴールを目指すプロジェクトと、実際に自分が討議に参加して策定したゴールを目指すプロジェクトでは、自ずと達成意欲に大きな違いが出るものです。