東京・表参道にある革製品ブランド「ロエベ」直営店。2009年9月18日に始まった展示会の“ナビゲーター”役を務めるのが、ベンチャー企業「頓智・(トンチドット)」が開発したiPhone用アプリケーション「セカイカメラ」だ。iPhoneのカメラで映した画像に、その場所にひも付けられている文字や画像などを重ねて表示する。展示会場のブランドイメージを損ねることなく、ネットから種々の情報を提供できる。

 LVJグループのロエベが、2009年9月18日から10月12日にかけて開催しているのは、新作およびこれまでの秀作などを組み合わせた展示会。開会に先駆け、9月17日夜に開かれた関係者向けパーティー会場では、来場者の何人かがiPhoneを手に取り、その画面をのぞき込む姿が見られた(写真1写真2)。

写真1●東京・表参道にあるロエベ ジャパン カンパニーの直営店
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写真2●「ロエベ アマソナ展」のパーティー会場で使われた「セカイカメラ」
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 iPhone上で動いているのは、ベンチャー企業「頓智・(トンチドット)」が開発したアプリケーション「セカイカメラ」である。セカイカメラはiPhoneのデジタルカメラ機能を使い、画面に周囲の映像を映し出すと同時に、「エアタグ」と呼ばれるアイコンを重ねて表示するアプリケーション。画面上では、パーティー会場である店舗内にエアタグが無数に浮かんでいるように見える(写真3)。

 ロエベの展示会の目玉の一つに、「バルセロナチェアー」がある。その近くでセカイカメラの画面を見ると、バルセロナチェアーに関するエアタグが浮かんでいる。それらをクリックすると、バルセロナチェアーについての歴史や特徴などを閲覧できる(写真4)。

写真3●セカイカメラの画面を通すと、パーティー会場内に「エアタグ」が浮かんで見える
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写真4●エアタグがロエベの商品を解説する
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 会場内で表示されるエアタグには、ロエベ側が用意したもののほかに、来場者がセカイカメラで作成したものがある。来場者が作成したエアタグをクリックすると、どんな人が展示を見たのか、他の来場者がどんな感想をもったのか、などを知ることもできる。

「斬新なアピール手法を探していた」

 ロエベは今回、店舗内に3台のiPhoneを用意して貸し出す。来場する関係者や顧客への商品説明のツールとしてはもちろん、iPhoneなどのデジタル機器に興味を持つ若い世代など、新しい顧客を呼び込むツールとしても期待する。iPhoneを持っていれば、App Storeで無償公開されているセカイカメラのソフトウエアをダウンロードして、店舗内で使うことができる。

 展示会を主催するロエベジャパンカンパニーの丸山 武プレジデント兼CEOは、セカイカメラを採用した理由を、「歴史ある商品の展示会だけに『斬新でユニークな手法でアピールできないか』と考えていた。セカイカメラは、“ナビゲーター”として非常におもしろいと感じた」と話す。実際、パーティー会場では、画面を覗きながら会場内の商品を見て回る人もいれば、何人かで同じ画面を見て歓談する人たちがいた。