Linuxベースの携帯端末プラットフォームを開発するLiMo Foundationが,KDDIをメンバーに加えたと発表した。LiMo Foundationは2007年に,米モトローラ,NEC,NTTドコモ,パナソニック モバイルコミュニケーションズ,韓国サムスン電子,英ボーダフォンが設立した団体である。

 LiMo Foundationに参加した理由をKDDIは「端末プラットフォームの動向調査の一環」(広報部)としているが,LiMo Foundation加入が単なる調査とは思えない。端末プラットフォーム再考に向けた動きととらえるべきだろう。

 KDDIは自社端末に,米クアルコムのOSであるBREW上にKDDI独自のミドルウエア「KCP」,「KCP+」を搭載したプラットフォームを採用している。KCP/KCP+は端末開発に必要なほぼすべての機能を含んでいるため,メーカーが端末を迅速に開発できる利点がある。実際,2005年から2007年ころまでは,この良さが生き,様々なデザインの端末が登場して加入者が増えるという好循環を生み出せていた。

 ところが昨年あたりから,負の面が出てきている。KCP/KCP+はKDDIしか採用していないため,メーカーはKDDI端末を他事業者用に転用できない。このため,メーカーにとっては開発費が重くなりがち。端末販売が低迷する最近では,より一層,KCP/KCP+端末を作るインセンティブが働かなくなっていると思われる。

 こうした状況下で,KDDIが選択したのがLiMo Foundationへの加入ではないのか。LiMo Foundationのプラットフォームは,携帯事業者共通の基盤の上に各事業者独自のオペレータ・パックを載せる形になる。この仕組みを採用すれば,LiMo対応端末を提供するメーカーからも,端末調達の可能性が広がるというわけである。