9月25日付で社長を退任した野副州旦氏 (写真:小久保 松直)
9月25日付で社長を退任した野副州旦氏 (写真:小久保 松直)
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 富士通の野副州旦氏が9月25日付で社長を退任した。積極的なM&A(合併・買収)による海外事業強化,半導体やハードディスクといった非中核事業の整理,子会社再編にまで踏み込んだ国内営業体制の強化――。昨年6月の社長就任以来,猛烈なスピードで改革を続けてきたが野副氏が経営の一線を退くインパクトは小さくない。週明けの28日,円高の影響もあり,富士通の株価は大幅続落。一時,前週末比33円(5.4%)安の580円まで売られた。

 当座の経営課題の手当てを終えたものの,富士通はその果実を手にするまでには至っていない。それどころか,足下の業績は決して楽観視できない。2009年度,本業の儲けを示す営業利益は900億円の見通し。2011年度の目標として掲げる2500億円への道のりは遠い。

 明確なビジョンと強力な実行力を併せ持つ野副氏が去った後,富士通は改革を続けられるのか。「2011年度までの3年間で真のグローバルIT企業を目指す」とした中期目標は達成できるのか。15カ月にわたった野副改革の軌跡を振り返ると共に,富士通の今後を展望する。

突然の交代劇

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