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丸山不二夫氏 講演録

日本人開発者は、50億人がクラウドを使う「第二の情報爆発」に備えよ

構成:日経コンピュータ 2009/09/18 日経コンピュータ
写真●早稲田大学大学院の丸山不二夫客員教授
写真●早稲田大学大学院の丸山不二夫客員教授
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 セキュリティや信頼性といったクラウドを「使う」議論だけでなく、世界の50億人が携帯電話機経由でクラウドを使い出す「第二の情報爆発」に備えて、日本のクラウドを「作る」議論を始めよう--。2009年9月16日の「XDev2009」基調講演で、早稲田大学大学院の丸山不二夫客員教授(写真)は来場者にこう訴えかけた。その講演全文を掲載する。

(注)丸山氏が講演翌日にTwitterに掲載したテキストを、日経コンピュータ編集部が再構成した。



プライベート・クラウド重視、セキュリティ重視でいいのか?

 今回の講演では、我々が中長期的に何を考えるべきかについてお話したい。

 僕には、今のクラウド認識に関する不満がある。パブリック・クラウドとプライベート・クラウドとを区別して、クラウドを分かったように思う風潮があるが、それでいいのか?

 そもそも、パブリック・クラウドと言われているものの実体は、米Googleや米Amazon.com、米Microsoftといった企業(プライベートカンパニー)の「プライベート・クラウド」に過ぎない。それがリーチを広げて「パブリック・クラウド」と言われるまで成長した。

 クラウド間の競争が、自由競争の市場で繰り広げられている。パブリックとプライベートという線引きは、プライベート・クラウドをこの競争から守るものにはなりえない。なによりも、パブリック・クラウドとプライベート・クラウドとの間には、圧倒的な技術力の格差がある。

 (GoogleやAmazonなどの)パブリック・クラウドが「発展したプライベート・クラウド」であるなら、我ら(日本人)のプライベート・クラウドが、パブリック・クラウドに発展を遂げる可能性を持っているのだろうか? 今のままでは、その可能性はない。

 クラウドを、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)やPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)、IaaS(インフラストラクチャ・アズ・ア・サービス)に分類して、分かったように思う風潮もあるが、それでいいのだろうか?

 現状整理は必要だが、現象の表面的な分析に過ぎない。何がクラウドを成立させたのか、その力を見ないと本質は見えてこない。既に14年ほどになる「クラウドの成立の歴史」を、その必然性においてとらえる必要がある。

 ところが日本におけるクラウドのビジネスの現状はどうか? 「プライベート・クラウド重視」「セキュリティ重視」「標準化重視」といった傾向がある。「パブリック・クラウドと同じ土俵で戦う」という考えがない。日本において、クラウド・ビジネスが遅れていることの反映でもある。

クラウドを利用するだけでは本質は見えてこない

 クラウドを考える上で、ビジネスは最重要の課題だ。どのように日本のITビジネスを発展させるのか。戦略が重要だ。クラウドの世界で起きている変化を、過小評価してはならない。戦略抜きに時間稼ぎで戦術的に対応しては、ビジネス自身が危機に陥ることになる。

 開発者のスキルについても考えてみたい。「Amazon EC2」や「Google App Engine」、「Windows Azure」といった技術は、ぜひとも使ってその技術に慣れるべきだ。クラウドを使って試してみることは、開発者にとってとても良いことだ。クラウドの技術を知らなければ話にならない。

 しかし、ただクラウドを利用するだけでは、クラウド技術の本質は見えてこない。クラウド技術の中核は、クラウドのサービス提供技術だ。つまり「スケールアウトするシステムを作る技術」が最重要。このままでは「クラウドを作る技術」と「単にそれを使うだけの技術」との技術格差が広がるだけだ。

 クラウド認識に関する最大の問題は「どうせ(米国勢には)かないっこない」と思っていること。しかも現状では、それは当たっている。皆内心そうだと思っているし、知れば知るほど、その確信が増す。

 しかしこのまま進んだらどうなるだろう。今、必要なことは、我々がクラウドの技術を持つ可能性を探ることだ。「敗北主義」を克服して、我々自身が、将来的にはクラウドの主体的な担い手になるのだということに、開発者の関心を向けていく必要がある。これが日本では、決定的にできていない。

「Webスケール」が生んだクラウド技術

 クラウドの歴史を振り返ってみよう。そこでは、クラウドの母胎として「インターネット・クラウド」の広がりがあるという視点が大事。その中で形成された「Webスケール」という概念に注目する必要がある。

 「Webスケール」は、インターネットのグローバルな展開が初めて可能にした概念。量的には、それまでの基準と比べるとけた違いに多数で、かつ、質的には、その数が絶え間なく増大し得るものである。

 例えばGoogleは、世界中のネット上の情報を対象にしようとした。それがWebスケールだ。Webスケールに初めて直面したのがGoogleのエンジニアであり、彼らはそれをビジネスのチャンスととらえた。

 WebスケールはGoogleだけが直面したものではない。例えば「eBay」には、8830万人のユーザーがいて、1日に20億PV(ページ・ビュー)だという。「Facebook」には現在、3億人のユーザーがいる。そういうスケールの消費者がいる世界が、Webスケールだ。

 Webスケールが成立したのは、つい最近のことだ。日本でも21世紀に入ってから家庭にインターネットが普及し、そのブロードバンド化が急速に進んだ。今では日本の全世帯の9割近くが、高速のインターネットに接続している。10年前には無かった環境の変化がある。

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