売上高100億円以上のソリューションプロバイダ182社のうち、増収増益を達成したのは52社である。75社が減収減益に陥った。2007年度と業績を比較できる173社の平均値について見ると、売上高は前年度に比べ0.9%減り、703億5800万円となった。営業利益は前年度比24.8%減の31億8200万円、経常利益も25.2%の減少である。
本誌恒例のソリューションプロバイダの売上高ランキングは下の表に掲載した通りである。売上高の順位は前回とほとんど変わらなかった。ソリューションプロバイダの実力を示す指標として、「成長性(売上高伸び率)」「収益力(売上高営業利益率)」「生産性(従業員1人当たり経常利益)」の三つについてもランキングをまとめた。詳細は次回以降で述べる。
成長性は悪化、収益力は健闘
これら三つの指標について、5年間の動向を見てみよう(図)。2008年度に成長性(売上高伸び率)が「0%未満」、つまり減収に陥った企業の割合は56.2%。過去5年間で最も高い。「2008年8月を転換期として、2008年度下期にシステム構築案件の受注が減ったことが響いている」。三菱UFJ証券の田中秀明エクイティリサーチ課シニアアナリストは分析する。

成長性は悪化したものの、収益力はそこそこ健闘している。売上高営業利益率が「5%未満」とする割合が47.5%で、2007年度の40.9%から若干増えたものの、「5%未満」と「5%以上10%未満」の割合の合計は、2007年度とほとんど同じになった。
この理由について、大和総研の上野真 企業調査第二部上席次長シニアアナリストは「景気の後退を察知し、開発パートナー企業との契約を打ち切るなどの手を打ったソリューションプロバイダが多かった」と、述べる。
収益力を確保できた理由には、案件の受注前審査やプロジェクトマネジメントの徹底もある。「5~6年前にIT業界が不況に見舞われた時と比べると、特に大手ソリューションプロバイダの不採算案件の数はかなり減っている」(ドイツ証券の菊池悟 株式調査部情報サービス/ソフトウェア担当ディレクターシニアアナリスト)。
一方で、生産性は前年度より悪化した。1人当たり経常利益は「100万円未満」の企業が40.0%で、過去5年で最も高い。2007年度よりも13.0%増加している。