椎木 隆太/DLE 代表取締役社長
私はアニメーションなど日本のエンターテインメント・コンテンツの海外展開を手掛けている(写真1)が,世界の中での特異性という点から言えば,アニメやマンガは典型的な「ガラパゴス」商品である。

代表取締役社長
椎木 隆太 氏
少女マンガに見られるように目が異様に大きい登場人物,“みけんに青筋が立つ”といった記号論的なコミュニケーション文化はほかの国に例を見ない。だからといってアニメやマンガの評価が低い,あるいは全く受け入れられないことはない。
「ポケットモンスター」や「ドラゴンボール」などをはじめとし,世界各地で人気を博している。フランスのアニメは,日本のまねをしながら自国の作品と融合させて世界での評価が高まっている。
“突き抜けた”からウケた

私は,日本のアニメが世界でウケているのは,“突き抜けた”存在だからだと考えている。日本のアニメは,誰が見てもすぐにそれと分かる。
IT業界では,世界と違う進化を遂げたことをマイナスととらえて世界に合わせていこうという動きがあるようだが,私は逆にもっと圧倒的な存在になることを提案したい。今やっていることを後ろめたく思うことはない。
携帯電話で言えば,欧州の片田舎に住む人が「今はとても手が出ないけど,いつかは日本の高機能な携帯電話を持ちたい」と思わせることだ。そんな人には,「廉価版も用意していますよ」と言って,とりあえず日本メーカー・ブランドの低価格品を販売する。現状では,そこまで認知もされていないことの方が問題だと考える。
チャンスはある,世界に旗を立てよ
私自身はソニーで新興国向けの販売を数年手掛け,その後,アニメ事業に触れる機会を得た。その中で世界では日本のアニメへの関心が高いにもかかわらず,自らの手で主体的かつ戦略的に海外展開を行っていこうと考えている人が誰もいないことに気付いた。ほとんどすべての人が,海外からのオファーに対して受動的に許諾をしているだけだった。それが当社を起業するきっかけだった。
今では,海外の企業や個人が「日本の誰かとコンテンツを共同制作したいがどうすればいいか」,「日本で就職したいが紹介してもらえないか」などと頼ってくるようになった。アニメ業界での経験が浅い私に,なぜ海外の企業が頼ってくるかといえば,外部からほかの老舗企業の顔が見えないからである。
その気があれば,ビジネス・チャンスはたくさんある。自分の経験を踏まえると,“世界に旗を立てる”ことを提案したい。世界中にソニー・ファンがいて常に新しい製品を期待するように,国全体が一丸となって日本ファンを増やすべきだ。“世界の未来は日本にある”くらいのアピールがあっていい。日本の製品やサービス,あるいは日本そのものへのあこがれを作ることが重要ではないだろうか。
ディー・エル・イー(DLE) 代表取締役社長