2009年10月22日の店頭販売に先駆け,企業向けのライセンス提供がこの9月に始まったマイクロソフトのクライアント向け新OS「Windows 7」。ITproでは,2001年の登場から約8年を経てサポート期限切れが迫るWindows XP,および2007年に登場しながら普及が進まなかったWindows Vistaと,Windows 7の性能を比較するベンチマーク・テストを実施した。その結果から,Windows 7は複数アプリケーションの同時実行性能でVistaをしのぐも,XPに及ばない場面があることも分かった。

 今回の測定は,Windows 7,Windows Vista,Windows XP,それぞれの32ビット版と64ビット版を対象とした。測定機の仕様はCPUがデュアルコアのAthlon X2 5400+,チップセットはAMD 690G,メモリーが4Gバイト(うち128Mバイトをビデオ・メモリーとして固定的に使用)である。アプリケーションが利用可能なメモリー空間は32ビット版は約3Gバイト,64ビット版は4Gバイトになる。デバイス・ドライバのバージョンは2009年8月17日時点の最新版に統一した。

 ベンチマーク・テストに使用したソフトは,英SiSoftwareの「Sandra」,米Futuremarkの「PCMark05」と「PCMark Vantage」の3種類。SandraでCPUやメモリー・アクセスなどの基本性能を,PCMarkの両ソフトで実アプリケーション性能を,それぞれ測定した。測定値は5回分の平均値になる。

基本性能:Windows 7,Vista,XPが僅差で並ぶ

 まずSandraのテスト結果のうち,基本的な演算性能を計る項目を見てみよう(図1)。結果は32ビット版,64ビット版とも,総じてWindows 7がわずかに速い。基本的なCPU/メモリー性能に限れば,順当に改善が進んでいるようだ。

>図1●Windows 7/Vista/XPの32/64ビット版における基本演算性能
図1●Windows 7/Vista/XPの32/64ビット版における基本演算性能
英SiSoftwareの「Sandra」で計測した。値は32ビット版Vistaを1とした場合の相対性能。
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 続いて暗号化/復号処理のスループット,メモリー帯域,およびファイル・システムの入出力性能である(図2)。こちらもファイル・システムの入出力性能を見る「Drive Index」など一部テストを除けば,32ビット版,64ビット版とも,総じてWindows 7がわずかに速いという結果になった。

図2●Windows 7/Vista/XPの32/64ビット版における基本処理性能
図2●Windows 7/Vista/XPの32/64ビット版における基本処理性能
英SiSoftwareの「Sandra」で計測した。値は32ビット版Vistaを1とした相対性能。
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 なお,32ビット版と64ビット版の比較では,64ビット処理で演算するテストで64ビット版のほうが5~66%程度高速化している。32ビット版と64ビット版の比較で最も差がついた鍵長256ビットのAES暗号化処理「AES256 CPU Cryptographic」を見ると,64ビット版のほうが32ビット版に比べWindows 7で66%,Vistaで65%,XPで64%処理速度が向上している。