イプロスのCIOを兼任する岡田登志夫代表取締役社長
イプロスのCIOを兼任する岡田登志夫代表取締役社長
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 キーエンス子会社のイプロス(東京都港区)は、製造業や建設業のエンジニア向けに部材や試験装置などの情報を提供するポータル(玄関)サイトを運営する事業者。2000年に発足し、2009年8月には製造業向けポータルの会員数が25万人を突破。ページビューは月間600万以上で推移するなど、順調に成長してきた。

 同社のCIO(最高情報責任者)は、岡田登志夫代表取締役社長が兼務する。キーエンスで電子回路の開発や事業企画などに携わってきた岡田社長は、個人ではパソコン通信「ニフティサーブ」を毎秒300ビットという低速モデムの時代から使いこなしていた筋金入りのネットの使い手。「ネット利用者の価値観や求めている機能などはある程度理解していた」と岡田社長は明かす。エンジニアとベテランのネット利用者という顔を持つ岡田社長だからこそ、技術者が目当ての製品を探したり、自社の製品を売り込んだりできるポータルを企画した。

 岡田社長は運営するポータル・サイトの理想的な姿を「エンジニアにとっての『ディズニーランド』」と表現する。その意図は、サイトを訪れた利用者が「こんな製品があるとは知らなかった」などと知的好奇心を刺激する場であり続けたいというものだ。しかも利用者が満足するレベルにとどまらず、感動を与えられるレベルに引き上げるのが理想だ。

 このポリシーを象徴するのが、ポータル・サイト上に登録された様々な製品の分類方法だ。あえて業種別では分類していない。業界をまたいで様々な技術や製品を俯瞰できることで、利用者であるエンジニアに「こんなものもあるんだ」と知的好奇心を刺激する狙いだ。実際に、食品業界のエンジニアが半導体業界向けの製品に注目するなどの例が少なからずあるという。

 このように分類をゆるめにする一方で、各製品に付与するキャッチコピーには力を入れる。自社の製品をアピールしたい顧客企業などと徹底的に議論することで、エンジニアを刺激するキーワードができ上がり、それがポータルサイトの利用を一層促進すると考えている。

Profile of CIO
◆普段読んでいる新聞・雑誌
・日本経済新聞
・日経産業新聞
・日経ものづくり
・日経トップリーダー

◆最近読んだお薦めの本
・『明日の広告 変化した消費者とコミュニケーションする方法』(佐藤尚之著、アスキー新書)
・『ディズニーが教える お客様を感動させる最高の方法』(ディズニー・インスティチュート著、日本経済新聞出版社)
・『「記事トレ!」日経新聞で鍛えるビジュアル思考力』(板橋悟著、日本経済新聞出版社)

◆ストレス解消法
・水泳です。1000mなどと目標を決めて、泳いだらさっと上がります