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発掘!グリーンITプロジェクト

ITシステムの投資効果を「環境」で測る,グリーンITを業務改革の切り札に──リコー

複合機の遠隔診断システムで年間1433トンのCO2排出量を削減

高木 邦子=ITpro 2009/09/17 ITpro
●東京・銀座にあるリコー本社
●東京・銀座にあるリコー本社

 リコーは,主要なシステム開発プロジェクトについて,「環境」をIT投資効果を測る評価軸の一つとして加えた。「グリーンITによる環境負荷算出ガイド」を社内で作成,2009年8月から,ユーザー部門とシステム部門の担当者が共同で,システム導入に伴う環境負荷の事前評価体制を整えた。

 同社ではIT投資を「インフラ型IT/S投資」と「プロジェクト型IT/S投資」の二つに分け,それぞれ別の考え方で管理している。インフラ型IT/S投資は一定の基準を設けて総額を管理する。IT機器の消費電力を減らすGreen of ITの考え方に近い。一方,プロジェクト型IT/S投資はプロジェクトごとに投資効果を測る。これはITを活用することによって業務を効率化し,CO2排出量を減らすGreen by ITの考え方である。

 「当社では環境と利益を同軸と考え,グリーンITを業務改革による環境負荷低減の切り札として取り組んできた。今回,この取り組みを一歩進めるため,ITシステムの導入に伴う環境影響を事前評価すると同時に,稼働後は効果を検証するプロセスをルール化し,全社で組織的に実施する体制を作り上げた」と,IT/S本部 IT/S企画センター 副所長の石野普之氏は説明する。これまでは,IT投資案件を評価する場合,「財務の効果」「顧客満足の効果」「社内プロセスの効果」「組織能力向上の効果」という4つの軸で評価してきたが,新たに「環境負荷低減の効果」を加えてIT投資効果を管理することにした。

 環境負荷の事前評価は,他の4つの評価軸とともに,ITシステムの通常の開発プロセスの中で行われる。「企画審議会,概要設計審議会,稼働審議会,稼働後評価会の各段階において,ユーザー部門,システム部門,環境部門のマネジャークラスが集まって審議する。場合によっては,さらに高い環境負荷削減効果を狙い,開発計画の修正を要請することもあり得る」と,石野氏は説明する。環境負荷の事前評価を行うITプロジェクトは,概ね予算規模が5000万円以上のプロジェクトが対象。年間30~40件ほどがこれに該当するという。

システムに伴う環境影響を事前に見積もる

 環境負荷低減効果は,具体的には7つの視点で評価する。「物の消費量の削減」「人の移動量の削減」「物の移動量の削減」「オフィススペースの削減」「工数の削減」「物の保管スペースの削減」「廃棄物の排出量の削減」「ICT機器・設備の電力消費量の削減」である。

 開発するITシステムは様々であり,環境負荷の削減にどのような効果があるかは,それぞれ異なる。そこで,ITシステムによる環境負荷削減テーマを大きく6つに分類した。「業務の効率化」「紙の消費量の削減」「部品・製品の在庫削減」「物流改革」「作らずに創る」「ICT機器の省電力化」である。それぞれについて7つの評価項目のどれを重点的に算出するかをマトリクス表示したものが表1だ。

表1●ITシステムの環境負荷削減テーマと評価項目との対応表
 原材料・
消耗品
人の移動物の移動オフィス面積保管スペース廃棄物ICT機器の
消費電力量
業務の効率化
(オフィスワーク)
業務の効率化
(サポート,営業)
業務の効率化
(生産ライン)
紙の消費量の削減
部品・製品の
在庫削減
物流改革
作らずに創る
ICT機器の省電力化

 例えば,「業務の効率化(オフィスワーク)」というテーマでは,フリーアドレス化のソリューションなどが挙げられる。この場合は,「人の移動量の削減」「オフィススペースの削減」「ICT機器・設備の電力消費量の削減」の3項目について,重点的に算出を行う。「人の移動量の削減」の算出では,移動のための動力源の消費量を実測してCO2排出量を求める。それが難しければ,移動距離と燃費で換算,あるいは公共交通機関のCO2排出係数を使って,見なし効果値を測定する。

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