RubyWorld Conference 2009 会場
RubyWorld Conference 2009 会場
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島根県知事 溝口善兵衛氏
島根県知事 溝口善兵衛氏
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松江市長 松浦正敬氏
松江市長 松浦正敬氏
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 2009年9月7日と8日の2日間,島根県松江市で「RubyWorld Conference」が開催された。同会議は,島根県や松江市の産官学が組織したRubyWorld Conference実行委員会と,独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が共催したプログラミング言語Rubyの国際会議。Rubyの作者であるまつもとゆきひろ氏が実行委員長を務める。

 カンファレンスには海外から10名近い講演者が来日。また島根県のほか福岡,四国など地方の企業やコミュニティがRubyの活用事例の発表などを行った。2日間でのべ約1000人が参加した。

「Rubyのメッカに」と知事,市長

 オープニングで島根県知事 溝口善兵衛氏は「島根県をRubyのメッカにしたい」と述べた。島根県ではRubyを核にした産業振興に取り組んでいる。溝口氏は「島根県は教育レベルが高く,IT産業は島根に合っている」(溝口氏)と産業振興への意気込みを語った。

 続いて松江市の松浦正敬市長は,同市が実施している「Ruby City Matsuプロジェクト」を語った。「2年前からRubyの普及に取り組み,ビジネスに発展している案件も出てきている。市のシステムでも新しい案件は可能な限りRubyを使う」(松浦氏)と,プロジェクトへの熱意を表明した。

「顧客の近くでRuby,が中小ベンダーの進む道のひとつ」,通産省

経済産業省 商務情報政策局長 石黒憲彦氏
経済産業省 商務情報政策局長 石黒憲彦氏
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 経済産業省 商務情報政策局長 石黒憲彦は,同省のIT関連施策を紹介。同省が「IT底力発揮戦略」と呼ぶ施策は,ITによる基幹産業の競争力強化や地域・中小企業の活性化,グリーンITの推進などを行うもの。その中で「地域イノベーションパートナーシップ」と題して地域・中小企業の連携をサポートしており,中国地方ではRubyに関する2件の企業連携を補助対象として採択した。松江市のテクノプロジェクトやマツケイなどが参加する「Ruby業務システム開発基盤整備・開発技術向上プロジェクト」と,ネットワーク応用通信研究所などが参加する「Rubyでがっちり将来設計プロジェクト」である。

 石黒氏は「クラウドコンピューティングの進展により,誰もが使うようなサービスは,GoogleやAmazonといった大企業が無料に近い価格で提供するようになってきている。地域の中小ITベンダーはどこに道を見出すべきか。Rubyのような生産性の高い言語を使い,顧客に近いところでサービスを提供していくことがひとつの道」との考え方を示した。

「プログラマをハッピーにする言語」,XML策定の功労者Bray氏

Sun MicrosystemsのTim Bray氏
Sun MicrosystemsのTim Bray氏
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 基調講演に登壇したのは,Sun Microsystems Director of Web TechnologiesのTim Bray氏。Bray氏はXMLなどのWeb関連技術の仕様策定に深く関わった技術者である。Bray氏は「MatzはRubyを,プログラマをハッピーにする言語として作った。だからプログラマはRubyを愛する。私もRubyを好きだ」とRubyを賞賛。Bray氏自身もメーリングリストへの投稿をTwitterに投稿するプログラムなどをRubyで書いたという。

 Bray氏はRubyだけで構築されたサイトとして,服飾デザイン投稿・共有サイト「Ravelry」を紹介した。Ravelryは40万人以上のユーザーがいる。「このサイトは1人の技術者,Casey Forbes氏が作った。素晴らしい,革命的なこと。Rubyがそれを実現した」(Bray氏)。