写真1●2009年2月発売のホンダのハイブリッドカー「インサイト」
写真1●2009年2月発売のホンダのハイブリッドカー「インサイト」

 ホンダは,2009年2月に発売したハイブリッドカー「インサイト」にエコアシスト(エコロジカル・ドライブ・アシスト)機能を搭載し,ドライバーの低燃費運転(エコドライブ)の支援に効果を上げている(写真1)。同社のテレマティクス・サービス「インターナビシステム」と連動し,リアルタイムで運転技術をアドバイスする仕組みなどを実現。エコアシスト機能の導入によって,数%~10%程度の燃費向上効果があると期待されている。

 2009年6月からは,エコドライブをさらに普及させる狙いから,インサイト・オーナーが互いのエコドライブを競う 「エコグランプリ」をホームページ上に公開した。全国を走るインサイトのカーナビから情報センターにアップロードされた燃費情報をもとに,1日単位の平均燃費をランキング表示する。発売当初から会員専用サイトで公開してきたが,会員以外でも見ることができるようにイベント化した。

 イベント開始時に1500人ほどだったエコグランプリの参加者は,現在3000人を超える日もある。ランク50位でも30km/リットル前後という高レベルの数値が記録されており(8月集計値),エコドライブを一般に普及させた意味は大きい。

21世紀の自動車レースは低燃費を競う

 「20世紀のレースはスピードを競っていた。21世紀のレースが競うもの。それは,あなたの燃費。場所は,ふつうの道。開催日は毎日・・・」。エコグランプリのホームページを開くと,企画のコンセプトがショートストーリー仕立てのビデオと軽快な音楽にのせて紹介されている。

 ランキング表示は,個人別(写真2)と県別の2種類。個人別では,インサイト・オーナーのハンドルネームと愛車のアイコン,燃費の実績値が,1位から30位まで順番に表示されていく。トップ10はほぼ毎日30km/リットル前後となかなか立派な数字だ。県別では島根や山形などがランキング上位を占めている。

写真2●エコグランプリのトップページ
写真2●エコグランプリのトップページ
 個人別の燃費ランキングを中央に掲載。インサイト・オーナーのハンドルネームと愛車のアイコン,燃費の実績値が,1位から30位まで順番に表示される。
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 「燃費をよくすることは,これまで個人の関心事だった。それをみんなで共有しようというのがエコグランプリのテーマだ。参加者が互いに励まし合い,楽しく競い合いながらエコドライブを習得できる仕組みを作りたかった」。こう語るのは,エコグランプリのプロジェクトを担当した営業開発室 マーケティング戦略ブロック主任の原寛和氏である。

 企画の構想そのものは,エコアシスト機能の開発を始めた頃からあった。「低価格で買えるハイブリッド車」がインサイトのメイン・コンセプトだが,価格だけを売りにするのでは限界がある。議論を重ねた結果,低燃費,すなわちエコドライブ機能を効果的にアピールする方策を検討することにした。エコグランプリの企画はこうした背景から生まれた。