新世代WANサービス“バースト通信”のすべて

 従来の広域イーサネットやIP-VPNと同等の信頼性を保ちつつ,リーズナブルな料金で広い帯域を利用できるサービスが登場してきた。「KDDI Wide Area Virtual Switch」(KDDI WVS),NTTコミュニケーションズの「バーストイーサアクセス」である。2009年7月,両社は同時にサービスを開始した。ブロードバンド回線の浸透によって停滞感が広がっていたWANサービスの,新たな潮流と言える。

 これらのサービスの特徴は,契約帯域(速度品目)を確保しつつ,物理回線の帯域をフルに生かして契約帯域を超える「バースト」通信(大容量の突発的なトラフィック)に対応できる点。背景にあるのは,データ・センターを中心としたクラウド・コンピューティング型システムの台頭や,経済情勢の悪化に伴うコスト削減圧力の高まりだ。そのメリットに着目し,既にサービスを導入した先進ユーザーもいる。

 一見しただけでは分かりづらいが,両社のサービスには具体的な動作や効果などの点で違いがある。その違いを踏まえておかないと,ユーザーは必要とする性能やコスト・パフォーマンスを得られなくなる危険性がある。サービス内容からコア技術まで細部を見てみよう。