問題

問75 M&Aの利点はどれか。

ア 機能別に分業を行うことで,専門化による知識と経験の蓄積ができ,規模の経済を得ることができる。
イ 自社にない技術やノウハウを獲得することによって,新規事業を短期間で実現することができる。
ウ 自律感による高い心理的エネルギーを活用でき,既存事業からの影響を最小限にすることができる。
エ 製品別や市場別に事業を区分し,独立採算制とすることで,利益責任を明確にすることができる。

ストラテジ系>経営戦略>経営戦略マネジメント>経営戦略手法

解説と解答

 M&A(Mergers and Acquisitions)とは,企業の合併・買収のことであり,多角化経営戦略の一つです。企業の合併・買収だけでなく,企業同士の提携も含まれます。それによって,ビジネスチャンスを逃すことなく事業の拡大や収益力の改善ができるようにします。

 それぞれの選択肢を検討してみましょう。

 選択肢アの記述は,職能部門別(職能別ライン)組織の説明です。職能部門別組織とは,企業活動を経理,営業,製造といった活動の性質によって専門的に活動できるように構成した組織構造です。

 選択肢イの記述は,M&Aに関する正しい記述です。

 選択肢ウの記述は,分社化の説明です。分社化とは,企業の事業や業務機能を本体である会社から分離して新たに独立した子会社を設立することです。分社化すると独立した法人として決算が行われたり親会社と異なる人事・賃金体系を取ったりすることができ,親会社と分社化した子会社との間の事業リスクが遮断できます。

 選択肢エの記述は,事業部制組織の説明です。事業部制組織とは,製品や顧客,地域といったカテゴリごとに利益責任と業務遂行に必要な機能を持たせ,自己完結的な企業活動ができるように複数の組織単位で構成されている組織構造です。

 以上より正解は,選択肢イです。

佐塚 彰夫(さづか あきお)
アイティ・アシスト 代表取締役
ITに関するコンサルティングや教育を実施するアイティ・アシストの代表。新人研修やプロジェクトマネージャ育成研修をはじめ,基本情報技術者試験,応用情報技術者試験,プロジェクトマネージャ試験などの試験対策研修の実績も豊富。著書に「短期完全マスター 基本情報技術者 2009年版」などがある。