NTTドコモは東京ビッグサイトで開催された「ワイヤレスジャパン2009」で,同社が秋に開始する予定のフェムトセル基地局を展示し,サービスの将来像を明らかにした。展示では,「子供が持つ携帯電話機が家庭のフェムトセル基地局につながると帰宅したと見なし,親にメールが届く」,「動画や音楽などの大容量コンテンツをストレスなく利用できる」といったサービス内容を紹介した。

 さらにNTTドコモは,フェムトセル・サービスに関して二の矢,三の矢を用意していることを示唆した。例えば,デモ展示会場で流したビデオでは,「フェムトセル基地局と家庭内のAV機器を接続し,携帯電話機をコントローラにして操作する」,「フェムトセル基地局と分電盤を結び,携帯電話機で電力使用量のモニタリングやスイッチのオン・オフを実行する」といったシナリオを見せていた。興味深かったのは,端末のユーザー・インタフェースを家庭内ではガラリと変えるアイデアを示していた点だ。外出時と帰宅時では,欲しい情報や機能は異なる。フェムトセルを使えば,これをうまく切り替えられるというわけだ。

 家庭以外での活用方法も披露した。ビデオでは,デパートや水族館などにフェムトセル基地局を置くストーリーを語った。例えばデパートでは,店内に入った瞬間にクーポンを端末に送ったり,何階にいるかといった情報を含めて迷子を高精度に探せるとした。水族館では,水生動物の生態を映像を使って説明することなどが考えられるという。

 このようにフェムトセルが生活に密着していけば,ユーザーはドコモの携帯電話を手放せなくなってくる。そういう世界を作り上げることがドコモの狙いだ。