米Microsoftがカナダi4iから特許侵害で訴えられ,10月までにWordの販売を差し止めるよう命じる判決を受けた問題で,同社は102ページの控訴理由書を提出した。また,同社に強力な援軍が加わった。米Dellと米Hewlett-Packard(HP)の2社が,Wordの販売差し止めの見直しを求める動きを起こしたのだ。

 控訴理由書の中で同社弁護団は,一審のLeonard Davis判事を激しく非難し,さまざまな間違いと誤認があったと指摘している。「裁判における判事は,門番としてきわめて重要な役割を持つ。今回の判決は,特許訴訟で判事が門番の役割を放棄した場合に何が起こり得るかを明白に示した例と言える」。

 ほかにも,不確かな証拠,矛盾をはらんだ特許明細書,さらには特許出願者の虚偽の主張までをも認定したとして,同判事を非難する言葉が並ぶ。特に厳しく非難しているのは,一審の審理の中で弁護団に不法行為があったとして,同判事が賠償金に4000万ドルを上乗せしたことだ(関連記事:MicrosoftがWordの販売差し止め判決に緊急の不服申し立て)。「賠償金の増額は法の誤りに基づくものであり,取り消されてしかるべきだ」と述べている。

 一方,米Dellと米HPは米国時間2009年8月24日,販売差し止めの執行延期を求めるMicrosoftの動きを支持し,“法廷助言者”の趣意書提出を申請した。万一,命令どおり10月にWordが販売差し止めとなった場合,両社はパソコン本体へのMicrosoft Office製品のバンドルを中止することを余儀なくされる。また,i4iの特許に沿うようにWordに修正を加えるとしても,自社のパソコン向けに作成したソフトウエア・イメージの変更が必要になり,長い時間がかかると主張している。

関連記事(英文):
・「Microsoft Files Emergency Motion in Word Verdict」(「MicrosoftがWordの販売差し止め判決に緊急の不服申し立て 」)
・「Texas Judge Tries to Halt Sales of Microsoft Word」(「米テキサス州の連邦地裁がWordの販売差し止めを命令」)
・「Word Appeal Hits the Fast Track」(「Word特許侵害訴訟の控訴審,米連邦裁判所が審理の前倒しを許可 」)