グループでシステムを標準化

 IFRSへの対応にパッケージソフトが向くのは、「連結グループ全体でシステムを標準化すると、将来的に対応を効率化できる」(アクセンチュアの鈴木パートナー)という狙いもある(図2)。

図2●IFRSに対応する場合の代表的な方法
図2●IFRSに対応する場合の代表的な方法
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 IFRSが全面適用になると、連結財務諸表はIFRS、商法や法人税法に必要な個別企業の決算書類は現行の日本基準に基づいて作成する。このため、複数の会計基準に基づいて処理できる会計システムが必要になる。

 連結グループの企業が個別に会計システムを構築していると、グループ全体の会計処理が複雑になる。複数の会計基準に基づいた財務諸表を各社が作成するからだ。

 連結会計パッケージソフトなどを導入して、各社が個別に作成した財務諸表をIFRSに基づいた財務諸表に変換する方法もある。だが、この方法だと「単なる制度対応にしかならず、IFRS対応への投資がプラスに生きない」と、アビームコンサルティングIFRSイニシアティブ リーダーの藤田和弘プリンシパルは指摘する。

 「IFRS対応をきっかけにグループ全体の情報システム基盤の標準化に取り組み、経営管理の高度化を目指すべき」。藤田プリンシパルは強調する。

 IFRS対応に残された時間が決して長くない点も無視できない。15年度からIFRSを採用した財務諸表を作成する場合、前年度の財務諸表もIFRSに対応する必要がある。14年度にIFRSに基づく財務諸表を作成できる準備を整えておくのが望ましい(図3)。

図3●IFRS全面適用のスケジュール
図3●IFRS全面適用のスケジュール
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 全社的な対応方針の策定からスタートし、企業グループ全体の会計システムの構築に着手しようとすると「数年はかかる」(アビームの藤田プリンシパル)。グループ全体の情報システムを標準化するのであれば、なおさらパッケージで効率化を図る必要がある。