米Googleが「Google Wave」を披露した(関連記事)。Google Waveとは,ユーザーに個人的なコミュニケーションとコラボレーションを一元的に実行できる場所を提供し,開発者には拡張可能なプラットフォームを提供するオンライン・サービスである。同サービスは,まだテスター向けにさえ公開されていない。だが,Google Waveは重要な新Webプラットフォームであり,Microsoftのオンラインに対する取り組みにとっても大きな脅威である。

電子メールやIMなどのコミュニケーション手段を作り替える

 Google Waveは,電子メール,インスタント・メッセージング(IM),文書と画像を使ったコラボレーションなどのタスクを根本から再定義しようとする途方もない試みである。Google Waveは究極のサービス,つまり,私たちがよくMicrosoftと結びつける,大風呂敷を広げたような計画なのだ。

 Googleによると,現在の電子メールおよびIMソリューションは,1960年代に誕生したコミュニケーション・モデルを模倣しているという。Google Waveはこれらのコミュニケーション手段ついて考え直そうという試みだ,とGoogleは述べている。

 Googleの見解では,Webは既にプラットフォーム戦争に勝利している。Googleは主にWebベースのサービスを作っているため,このことは好都合である。そして,Google Waveはオープンソース化されている。なぜなら,Googleはこの技術が可能な限り幅広く採用され,拡張されることを望んでいるからだ。Googleによると,同社はGoogle WaveサーバーがSMTPサーバーと同じくらいユビキタスになることを期待しているという。

好きな時点に「ウェーブ」でさかのぼれる

 Google Waveの各ユーザーは,ウェーブと呼ばれる「ホスト型のコミュニケーション」を行う。Googleによると,ウェーブは会話(電子メールやIM)や文書(コラボレーション)を自由に組み合わせることが可能で,文字や画像,動画,地図などを用いたリッチなインタラクションを実現するという。

 電子メールのスレッドとIMでの会話を1つに融合したらどのようなものになるか,想像してみて欲しい。大まかに言えば,それがウェーブだ。再生機能を使えば,参加者はある時点までウェーブを“巻き戻して”,過去に起きたことを見直すことができる。ユーザーは,いつでも好きなときに,ウェーブのあらゆる部分を編集することが可能だ。そして,誰が何をしたかを,いつでも確認することができる。

Outlookに似たインタフェースを提供

 Googleがこれまで特に強調しているGoogle Waveの特徴に,リアルタイムのコラボレーションや,自然言語ツール(文脈を考慮するスペル・チェック機能を含む),Google Waveの拡張可能モデルなどがある。この拡張可能モデルは,サードパーティの開発者が同プラットフォームにガジェットを追加したり,ほかのサイトにウェーブを埋め込んだりできるようにする。

 Google Waveは,完全にブラウザ内のみで動作する。Google WaveはHTML 5とGoogle Web Toolkitをベースとしており,基本的なレイアウトはMicrosoft Outlookに似ている。左側にはNavigation(受信箱のような「フォルダ」)とContacts(連絡先)の2つのペイン(Googleは「パネル」と呼んでいる)からなるマルチ・ペイン,真ん中には選択したフォルダ(GoogleはSearchパネルと呼んでいる),そして右側には選択したウェーブ(電子メール・アプリケーションにおけるメッセージ)がそれぞれ配置されている。Outlookなど,ほかの電子メール・アプリケーションに似ているのは,ユーザーがこの新しいコミュニケーション/コラボレーションのモデルに移行しやすいように,Googleが意図的にそうしているに違いない。

 新しいウェーブを作成するとき,通常は,メッセージの入力という電子メールと同じ手順を最初に行う(これとは対照的に,IMでは最初に単一の連絡先や,複数の連絡先からなるグループを選択する)。その後,ポップアップ・ウィンドウを使って,ユーザー(Waveでは参加者と呼ばれる)を追加することが可能だ。