スーパーマーケットに設置したデジタルサイネージ向けチャンネル「ミルとくチャンネル」を手がけるソニーと,CS放送などでアニメ専門チャンネル「アニマックス」を手がけるアニマックスブロードキャスト・ジャパン(アニマックス)は,2009年7月31日に両チャンネルで放映する広告パッケージの販売を開始した。首都圏でスーパーマーケットを展開するいなげやとOlympicの計52店舗と,ケーブルテレビなどを合わせて790万世帯が視聴するアニマックスで共通のコマーシャルが放映される。

 この商品の狙いは,それぞれの広告枠の付加価値を高めて,より多くの広告を取るための仕組みだという。ミルとくチャンネルの担当者であるソニーの相澤辰弥氏(B2Bソリューション事業本部 サービス&ソリューション事業部 サイネージビジネス部 メディア事業課 統括課長)は,「商品の認知だけでなく,より確実に購買につなげることが広告に求められるようになった。その答えとして放送のコマーシャルと店舗のデジタルサイネージのコマーシャルを組み合わせることを考えた」と語る。アニマックスを視聴しているユーザーが放送のコマーシャルで商品を認知し,スーパーマーケットに出かけた際にデジタルサイネージで再度認知して商品購買につなげるというシナリオである。

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 相澤氏によれば,アニマックスを視聴する層はスーパーマーケットに出かけて購入する層と年代や性別が重複していることが強みという。「スーパーマーケットに出かける層は女性やその子どもが多い。アニマックスを視聴する層も同様の傾向にある」(相澤氏)。実際に今回の広告パッケージを購入している企業の1社は,子どもがスーパーマーケットで親に買ってもらいそうな「バブリシャス」「メントス」といったお菓子を扱うキャドバリー・ジャパンである(写真)。バブリシャスやメントスのコマーシャルが店舗のデジタルサイネージ端末とアニマックスで放映されている。ソニーやアニマックスはこうした食品などスーパーマーケットで扱っている商品のコマーシャル獲得を見込んでいるが,映画の宣伝やレジャー施設のコマーシャルも有望と考えている。

 広告パッケージを販売していく中では,より購買効果の高い方法を提案していくという。その一つは,独自性のあるコマーシャルを作成するというものである。具体的には,企業の商品キャラクターに時間を告げさせる時報コマーシャルや,親子が食品を使って料理するミニ料理番組のようなコマーシャルである。アニマックスはコマーシャル作成部門を持っているため,企業への提案が可能になっているという。購買効果を高めるもう一つの方法が,放映されるコマーシャルの情報をスーパーマーケットの店舗と共有することである。コマーシャルで放映される商品に店舗での販売キャンペーンを連動させるなど,店舗側も工夫して売り上げを伸ばす余地が出てくる。

 ソニーでは,今回の反応がよければ,デジタルサイネージと別の媒体を組み合わせた広告パッケージの販売をさらに進めていく考えである。