米Microsoftの現在および将来のライバルとして,だれもが米Googleを一番手に挙げるだろう。この万人が注目するMicrosoftとGoogleの間での争いが激化している。Microsoftは,米Yahoo!との提携でGoogleの中核である検索事業の本格的なテコ入れに乗り出したのに加え,Googleが勝手に進めていた書籍のスキャンについても攻撃を開始した。

Take1:MicrosoftとYahoo!の検索事業の提携を米司法省が調査

 関係筋の話によると,米Microsoftと米Yahoo!が結んだ検索事業の提携に関して,米司法省が調査を行っているという。この提携では,米Googleの後を追う強力な対抗馬が誕生することになる関連記事

 調査自体は特に驚きではない。オバマ政権はかねてから,IT業界の反競争的行為に関して,前任のブッシュ政権よりも積極的に精査する姿勢を重ねて示していたからだ(その実現は難しいことではないはずだ)。

 もっとも,司法省が提携自体に横やりを入れようとするとはちょっと思えない。この提携は,市場を制覇する企業を誕生させるようなものではなく,ますます支配力を強めつつある企業に対して競争の圧力を与えるものだからだ。

 だが筆者は,欧州の状況に関しては若干の懸念を抱いている。反Microsoftで訴訟好きな欧州連合(EU)の規制当局者らが声高に異議を唱える可能性が高いからだ。おそらくそうなると思う。

Take2:Microsoft,Yahoo!,Amazonの3社,Googleブック検索の和解案に反対へ

 Googleが米国の作家や出版社などとの間で交わしたブック検索の和解案に反対する団体に,Microsoft,Yahoo!,Amazon.comの3社が加わることになった。

 ご承知のようにGoogleは,書籍の中身を検索できるようにするスキャンを数年前から実施している。だが同社は,そのような行為を行う許諾を取っていなかった(書籍には今でも著作権があるのだよ,Google殿)。このため同社は2005年,米国の作家協会(The Authors Guild)や出版協会(Association of American Publishers)から著作権侵害で訴えられた。

 同社はその後和解案を提示し,書籍のスキャンとオンライン販売を継続する権利を事後承諾で得ようとしている。この件に関しては,司法省が独占禁止法違反の疑いで調査を進めている。今回,IT業界の大手3社が参戦することで,騒ぎはいっそう過熱しそうだ。

 筆者はGoogleのこうした動きには嫌悪感を覚えるものの,同社が目指す路線は不可避だと考えざるを得ない。Googleの動きに反対する各種団体が最低限の責務として果たすべきは,同社が何らの代償を伴わずにまんまと利を得ることがないようにすることだ。