問題

問57 あるファイルシステムの一部が図のようなディレクトリ構造であるとき,*印のディレクトリ(カレントディレクトリ)D3から矢印が示すディレクトリD4の配下のファイルaを指定するものはどれか。ここで,ファイルの指定は,次の方法によるものとする。

〔指定方法〕
(1)ファイルは,“ディレクトリ名\…\ディレクトリ名\ファイル名”のように,経路上のディレクトリを順に“\”で区切って並べた後に“\”とファイル名を指定する。
(2)カレントディレクトリは“.”で表す。
(3) 1 階層上のディレクトリは“..”で表す。
(4)始まりが“\”のときは,左端にルートディレクトリが省略されているものとする。
(5)始まりが“\”,“.”,“..”のいずれでもないときは,左端にカレントディレクトリ配下であることを示す“.\”が省略されているものとする。

ア ..\..\D2\D4\a
イ ..\D2\D4\a
ウ D1\D2\D4\a
エ D2\D4\a

テクノロジ系>コンピュータシステム>ソフトウェア>ファイルシステム

解説と解答

 この問題のように,階層型のディレクトリ構造をもつファイルシステムのことを階層型ファイルシステムといいます。図を参照しながら,カレントディレクトリD3からディレクトリD4の配下のファイルaまでのパス(経路)を求めると,次のようになります。

D3→D1→D2→D4→a

 このパスを問題文にある〔指定方法〕のルールに従って記述します。ここでは,上の階層に登っていく「D3→D1」(パス1)と,下の階層に降りていく「D1→D2→D4→a」(パス2)に分けて考えてみましょう。

 パス1の「D3→D1」は,ディレクトリD3の1階層上のディレクトリD1に登るので,〔指定方法〕の(3)より,「..」になります。

 パス2の「D1→D2→D4→a」は,ディレクトリD1の配下にあるディレクトリD2,ディレクトリD2の配下にあるディレクトリD4,ディレクトリD4の配下にあるファイルaといったように,階層を一つずつ降りていくので,〔指定方法〕の(1)より,「D2\D4\a」になります。

 あとは,パス1の「..」とパス2の「D2\D4\a」をつなげばよく,ディレクトリの区切りを表す「\」を用いて,「..\D2\D4\a」になります。

 なお,この問題のようにカレントディレクトリからのパスを指定する方法を相対パス指定といいます。一方,ルートディレクトリからのパスを指定する方法もあり,これを絶対パス指定といいます。絶対パス指定では,〔指定方法〕の(4)のように,パスの先頭がルートディレクトリであることを表す“\”から始めるので,ファイルaまでの絶対パスは「\D1\D2\D4\a」になります。パスの指定には相対パスと絶対パスの二つの方法があることは,ぜひ覚えておきましょう。

 以上より,正解は選択肢イです。

小倉 美香(おぐら みか)
アプリケーションデザイナー 代表取締役
情報サービス会社の勤務を経て,1998年より現職。保持する資格は,プロジェクトマネージャ,テクニカルエンジニア(ネットワーク),同(情報セキュリティ),基本情報技術者など多数。著書に「短期完全マスター ITパスポート 2009年版」などがある。