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第25回 このままでは“システム屋”の給料は下がり続ける

2009/08/25

 経営者にとって、情報システムは頭痛の種になりがちだ。業務に必須だが投資に見合った効果が出るとは限らない。ほかの設備投資に比べて専門的で難解でもある。

 野村総合研究所で約20年間勤務した後に、人材派遣大手スタッフサービスのCIO(最高情報責任者)を務め急成長を支えた著者が、ベンダーとユーザー両方の視点から、“システム屋”の思考回路と、上手な付き合い方を説く。

 前回(第24回)は、私がシステム技術者、すなわち“システム屋”になった30年前は、このIT(情報技術)人材に希少価値があり、給与水準も高めだったと書きました。

 そのような古き良き時代もありましたが、残念ながら今後は、“システム屋”の給料・収入は下がるはずです。その理由は、簡単にいえば、これまでが高過ぎたからです。これまでは、様々な理由でIT人材の供給が需要に追い付いていませんでしたが、今後は需要自体が減退します。その分、多くの給料を払えなくなる可能性が高いのです。

景気動向と無関係に盛り上がった金融IT投資

 情報システム市場は、産業(金融以外の一般企業)・公共・金融の3分野に大別できます。産業分野の需要は景気によって変動しますから、これまで長期間にわたって需要が旺盛(おうせい)とはいえませんでしたし、今後も活発とは考えにくい状況です。公共分野の需要は安定していますが、参加できる業者が固定化されており、新たに参入することは容易ではありません。

 3つ目の金融分野が実はここ数年間の需要のけん引役であり、IT人材不足の要因でした。これが無ければ、情報システム産業はもっと早い時期に危機を迎えていたことでしょう。

 金融分野では第1に、金融機関の大型合併が相次ぎ、合併新会社の情報システムを整備する目的の大きなシステム統合案件がありました。第2に、インターネットの普及により、「ネットバンキング」「ネットトレード」などネットから様々な手続きを受け付けるためのシステム装備が必要でした。銀行などは特に横並び意識が強いので、ブームと呼べるほどの案件ラッシュにシステム会社は潤いました。

 第3に、規制緩和とそれに伴う競争激化が続きました。銀行・証券・生保・損保などの業界の壁が無くなったことによって、新たに許された業務をカバーするシステムが必要でした。同時に、新規参入によって守るべき分野の強化に迫られ、このことがIT投資を呼び起こしました。第4に、不良債権に苦しんだ反省から、リスク管理を強化する目的でのIT投資もありました。

 これら4つの動きはいずれも景気とは無関係です。金融各社は、成長性や収益性の強化を狙ってIT投資を決断したというよりも、生き残るために投資せざるを得なかったものと考えられます。

>>なぜか高い金融分野の人件費
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