McAfee Avert Labs Blog
Malware Is Their Business…and Business Is Good!」より
July 22,2009 Posted by David Marcus

 当ブログ記事の題名(「Malware Is Their Business…and Business Is Good!」)は,スラッシュ・メタル・バンド「メガデス」のデビュー・アルバム「Killing Is My Business…And Business Is Good」から拝借した。タイトルを真似たことは認めるが,2009年におけるマルウエアの急増を目の当たりにすると,不安になるほどふさわしいな題名でないだろうか。マルウエア生産は,世界経済の浮き沈みと無関係に記録的な勢いで続いている。このことから,どれだけ多くの犯罪者が稼いでいるかがよく分かる(マルウエア開発が単なる楽しみや自慢のネタだった時代はとっくに終わっている)。

 米マカフィーのウイルス対策技術研究機関「Avert Labs」で重複しないようマルウエアを数えたところ,既に2009年上半期の時点で2008年通期とほぼ同じ数を観測した。2008年のマルウエア数が過去最悪の増加ペースだったことを考えると,2009年は驚くべき状況だ。

マルウエア数の推移(重複なし)

 ほかのデータも紹介しよう。マルウエアは重複分を除いても平均で毎月20万個,1日当たり6000個以上も出現していることになる。そう,毎日6000個以上だ。この数字は種類の異なる(つまり個別に対策用ドライバを作る必要のある)マルウエアを数えており,発見したものすべては含めていない(この点については,別の機会に当ブログで取り上げる)。すべて数え上げたら,驚異的な値になってしまう。

 上半期だけを比べても,2009年は2008年の3倍弱にまで増えた。この急激な増加は,まるでムーアの法則のようだ。

マルウエア数の比較(2008年上半期と2009年上半期)

 当社のフランス人セキュリティ研究者Francois Paget氏は,こうしたマルウエアが詐欺や盗みにどれだけ使われるかを,調査報告書「Financial Fraud and Internet Banking:Threats and Countermeasures」(PDF形式)の中で示した。

 マルウエアの増加が止まらない要因はたくさんあるが,現時点では犯罪者が加担しているという理由が大きい。マルウエアはデータを盗むものだ。マルウエアを作って配るのは犯罪者だ。筆者には至って単純なことだと思える。サイバー犯罪用のツールやコードは簡単に入手可能で,このような状況が変わることはない。ただし(重要なことだが)未来はまだある。セキュリティ教育とシステム更新を怠らずにいれば,いずれ安全なコンピュータ利用につながる。


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◆この記事は,マカフィーの許可を得て,米国のセキュリティ・ラボであるMcAfee Avert Labsの研究員が執筆するブログMcAfee Avert Labs Blogの記事を抜粋して日本語化したものです。オリジナルの記事は,「Malware Is Their Business…and Business Is Good!」でお読みいただけます。