ライフスタイルをクリップするサイト「Alike.jp」を展開するアライク。人々のライフスタイルをネット上で再現し、それをベースに各種事業を展開していくのが狙いだ。日下康幸社長は、ネットの“向こう側”と“こちら側”の緊密な連携がネット利用者の底上げにつながるとする。サービス開始の経緯や狙いを聞いた。(聞き手は島田 昇=日経コンピュータ)

Alike.jpは、どのようなサービスか。

 SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)をベースに、飲食店の基本情報や、利用者がお店に「行った」「気になる」といったクチコミ情報を提供している。利用者はこれらの情報を活用して、学生や会社員が仲間とランチマップを作ったり、自分のライフスタイルに近い人の意見を参考にしたりしているようだ。

 一方で各店舗は、当社が提供する管理ツールを利用することで、自店に興味を持つ利用者に割引券を配信するなど、クチコミによる流入以上の集客策を実施できる。こうした店舗への管理ツール提供と広告が収益源で、Alike.jp事業における売り上げの半々を占める。

 現在、当社サービスには、飲食店、ホテル、美容・健康のカテゴリで90万弱の店舗が登録している。月間利用者数は250万人に上り、閲覧数は月間1000万弱だ。早期に利用者数1000万人を目指したい。そのため、ジャンルを今後も広げていく。近く、「菓子類」「衣類」「習い事」などを追加する。

一般的な飲食店のクチコミサイトのようにみえる。

 一見すると、飲食店のクチコミサイトといったイメージを持つかもしれないが、サービスの目指すところが根本的に異なる。一般的なクチコミサイトが、レストランやレシピなどそれぞれのジャンルごとに規模を拡大しているのに対し、Alike.jpはジャンルを選ばない。ネット上の情報収集に終始するのであればジャンルで区切るのも良いが、リアルな世界との密接な連携を目指すには、ジャンルではなく、ライフスタイルで切るべきだと考えるためだ。

一般的な利用者が焦点のサービスは少ない

 「Web 2.0」という言葉が頻繁に取り上げられていた頃に登場したサービスのほとんどが、技術に詳しい人たちの発想が主導役となり、ネット上で完結する形で作られていた。しかし、ほとんどの利用者はネットを情報収集ツールの一つとしてとらえ、必要な情報だけを取捨選択し、それをリアルで活用している。例えば、一般的な利用者に「携帯サイトで何を使っているのか」を聞いてみると、大抵は「乗り換え案内くらい」というのが現実だ。

 つまり、ほとんどの利用者はリアルを軸に生活し、ネットは一部のツールでしかないわけだ。こうした人たちにフォーカスを当てたサービスが少ないことに疑問を感じていた。こうした傾向を変え、サービスをもっとリアルな生活に密着したものに近づけるには、ライフスタイルで切ったサービスが必要だと考えている。