加入数7億!中国携帯産業のベールをはがす

 13億の人口,7億に迫る携帯電話ユーザー。中国の携帯電話産業の大きさとポテンシャルは計り知れない。2009年5月,その中国で第3世代携帯電話(3G)サービスが始まった。これは,日本携帯電話関連企業にとって中国市場に参入する好機到来といえる。

 このチャンスをつかもうと,政府や通信事業者,企業の動きが活発になっている。総務省が業界団体を後押しし「日中モバイルブロードバンド合作推進会」が設立された。日中の通信事業者,端末メーカー,コンテンツ事業者の交流を促進するのが狙いだ。

 通信事業者は中国の事業者と歩調を合わせる。NTTドコモは中国・北京の研究所で,中国移動(チャイナ・モバイル)が採用を検討するTD-LTEの研究を進める。ソフトバンクは中国移動などと共同で携帯電話向けサービス基盤開発会社「JIL」(Joint Innovation Lab)を設立し,ウィジェットの実行環境を開発中だ。ウィルコムも,2009年6月にTD-SCDMAの業界団体TDIA(TD Industry Association)と技術協力の覚書を交わした。

 メーカーではシャープが攻勢をかける。高機能機種の販売台数では一時,1位を獲得するなど快進撃が伝えられている。2009年には高級機だけでなく,中級機のラインアップを増やし,さらにシェア拡大を目指すとしている。

 一方で,中国市場への進出に二の足を踏む企業も多い。日本の携帯メーカーやコンテンツ事業者は,2003年ころに巨大な潜在市場に期待をかけてこぞって中国に進出したものの,大赤字を出して引き上げた経験があるからだ。そうした企業の幹部からは「中国に進出するのはもう懲りた」(大手コンテンツ企業),「まずは国内で力を蓄えてから改めて考えたい」(大手携帯電話メーカー)という声が聞かれる。ただ,日本市場の頭打ちが指摘される今,日本に閉じこもっていても大きな成長は望めない。

 もちろん,中国は日本の常識が通用しない市場だ。そこで,中国に詳しい専門家の分析を基に中国の携帯電話産業のベールをはがしてみよう。