ペーパー・プロトタイプを利用したユーザビリティ・テスティングを実施することで,操作上の問題点を抽出することができるようになりました。画面のレイアウトや構成,色の組合せや画面遷移については,ペーパー・プロトタイプだけでも十分に検証することが出来ると思います。

 しかし,ペーパー・プロトタイプは,しょせん紙芝居であり,実際の利用形態とは異なります。本当の利用イメージに近い方が,操作上の問題点をより多く抽出できます。可能であれば,実際の利用形態に近い,ブラウザで操作可能なHTMLプロトタイプを用いて検証するようにしましょう。

 当社が作ったプロセスでは,基本設計フェーズでペーパー・プロトタイプを利用したユーザビリティ・テスティングを実施し,その後HTMLプロトタイプを利用して2回目のユーザビリティ・テスティングを実施することを推奨しています。

 このように,ユーザビリティ・テスティングを複数回実施できればよいのですが,時間や費用の都合で1回しか実施できない場合には,できるだけHTMLプロトタイプを利用して実施するようにしましょう。

HTMLプロトタイプとは

写真1●HTMLプロトタイプの例
写真1●HTMLプロトタイプの例
[画像のクリックで拡大表示]
 HTMLプロトタイプとは,システムの画面イメージをHTMLなどで作成し,ブラウザでの表示と操作が可能なプロトタイプのことです。Webページ作成ツールを使えば,簡単にHTMLで画面を作ることができるようになったため,画面イメージをHTMLで作る方も多いのではないでしょうか。そのHTMLの画面イメージを,ユーザビリティ・テスティングに活用するのです(写真1)。

 実際の入力操作や画面遷移に近い動作が可能で,処理を最後まで実施できる画面がそろっていれば,ユーザビリティ・テスティングを実施することができます。必ずしも完ぺきなHTMLプロトタイプが必要というわけではありません。Power Pointなどで作成したプロトタイプでも十分利用できます。