問題

問33 事業者の基幹となる業務で使用しているシステムにおける障害対策の考え方のうち,最も適切なものはどれか。

ア 障害が発生した際に短時間で復旧できると判断した場合は,混乱を避けるために復旧してから関連部門へ連絡する手順にすべきである。
イ 障害が発生した際には短時間で業務を再開させることが最も重要なので,システムを再起動して業務を再開させてから障害原因を究明する手順にすべきである。
ウ 障害が発生した際の対処方法は状況によって異なるので,定められた対応手順よりも,現場での判断を最優先にすると規定すべきである。
エ 障害の発生は避けられないものと考えて,一部の障害によってシステム全体が停止したり,業務が再開できなくなったりしないような対策を準備すべきである。

マネジメント系>サービスマネジメント>サービスマネジメント>サービスマネジメント

解説と解答

 事業者の基幹となる業務で使用しているシステム(基幹業務システム)が停止した場合,業務の継続が困難になり,事業の運営に大きな不利益が生じます。

 基幹業務システムの障害対策では,どのような対策を講じても障害の発生を完全に防止することはできないものとし,障害の発生に備えた対策をあらかじめ講じておくという考え方が基本になります。そのため,一部の障害によってシステム全体が停止しないように重要な機器や部品を二重化する,障害発生時でも速やかに業務を再開できるようにバックアップサイトを構築しておくなどの対策を準備すべきです。

 基幹業務システムの障害は,たとえ短時間の停止であっても業務に大きな影響を与えます。このような場合は,速やかに関連部門に連絡し,定められた対応手順に従って復旧します。そのため選択肢アの記述は誤りです。

 また,障害が発生した際には短時間で業務を再開させることも重要ですが,同じような障害を繰り返し発生させないことも大切です。システムを再起動させてしまうと,障害の原因を究明するために必要なメインメモリやキャッシュメモリなどの内容が初期化されてしまいます。よって選択肢イも誤りです。

 障害が発生した際の対処方法は,あらかじめ定められた対応手順に従うべきであり,現場での判断を最優先にするのは不適切です。よって選択肢ウも間違いです。

 以上より正解は,選択肢エです。

小倉 美香(おぐら みか)
アプリケーションデザイナー 代表取締役
情報サービス会社の勤務を経て,1998年より現職。保持する資格は,プロジェクトマネージャ,テクニカルエンジニア(ネットワーク),同(情報セキュリティ),基本情報技術者など多数。著書に「短期完全マスター ITパスポート 2009年版」などがある。