問題

問40 システムの運用管理におけるインシデント管理の目的として,適切なものはどれか。

ア IT資産の構成要素を把握し,例外使用をしないように管理する。
イ サービスの中断時間を最小限に抑えて速やかに回復し,サービスの品質を維持する。
ウ ソフトウェア,ハードウェアからなるITサービスの実装変更を確実に実施する。
エ 利用者に対する唯一の窓口として,どのような問合せにも対応することによってサービスを確実に提供する。

マネジメント系>サービスマネジメント>サービスマネジメント>サービスサポート

解説と解答

 インシデント(Incident)とは,サービスの中断やサービス品質の低下につながるような事象(イベント)のことです。例えば,システムの異常終了や構成機器の障害発生などです。システムの運用管理におけるインシデント管理(Incident Management)は,インシデントによるサービスの中断を速やかに回復するためのプロセスです。SLAで合意されたサービスレベルの解決時間内で,できるだけ速やかにサービスを回復し,サービスの品質を維持する目的で行われます。

 ITサービスマネジメントのベストプラクティス(最良の事例集)を体系化し,標準的なフレームワーク(枠組み)としてまとめたものにITIL(Information Technology Infrastructure Library)があります。インシデント管理は,ITILのフレームワークに含まれる構成要素の一つです。特にITILのサービスサポートは日常的なITサービスの運用手法をまとめたものであり,ITパスポート試験の出題範囲にも含まれているので,その概要についてはチェックしておきましょう。

 選択肢アの「IT資産の構成要素を把握し,管理する」のは,ITILにおける構成管理の目的です。

 選択肢ウの「ITサービスの実装変更を確実に実施する」のは,ITILにおける変更管理の目的です。

 選択肢エの「利用者に対する唯一の窓口」は,ITILのサービスデスクです。

 以上より正解は,選択肢イです。

小倉 美香(おぐら みか)
アプリケーションデザイナー 代表取締役
情報サービス会社の勤務を経て,1998年より現職。保持する資格は,プロジェクトマネージャ,テクニカルエンジニア(ネットワーク),同(情報セキュリティ),基本情報技術者など多数。著書に「短期完全マスター ITパスポート 2009年版」などがある。