問題

問32 システム開発プロジェクトにおけるリスク管理として,適切なものはどれか。

ア リスク管理は,要件定義が完了した時点から実施する。
イ リスク管理を行う範囲には,スキル不足など個人に依存するものは含まない。
ウ リスクに対しては発生の予防と,発生による被害を最小限にする対策を行う。
エ リスクの発生は予防措置を徹底することで防止でき,その場合は事後対策が不要になる。

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解説と解答

 システム開発プロジェクトにおけるリスクとは,プロジェクトにマイナスの影響を与える事象が起こり,それが原因でプロジェクトに損失が発生する可能性のことです。

 例えば,コストの見積りが甘く予算を超過する,システムに対する変更要求が頻発して十分な品質が確保できないなど,システム開発プロジェクトには多様なリスクが存在します。リスク管理では,このようなプロジェクトに潜在する多様なリスクを洗い出し,そのリスクが発生しないように予防措置を講じるとともに,リスクが発生した場合に備え,リスク発生による被害を最小限にする対策も行うことが重要です。

 リスク管理は,要件定義より上流工程である企画の段階から実施する必要があります。そのため,選択肢アは誤りです。

 また,リスク管理を行う範囲には,プロジェクト要員のスキル不足といった個人に依存するものも含めます。そのため選択肢イも誤りです。

 また,どんなに予防措置を徹底したとしても,リスクの発生を完全に防止することはできません。そのため,あらかじめ事後対策を講じておく必要があります。よって選択肢エの記述も誤りです。

 以上より正解は,選択肢ウです。

小倉 美香(おぐら みか)
アプリケーションデザイナー 代表取締役
情報サービス会社の勤務を経て,1998年より現職。保持する資格は,プロジェクトマネージャ,テクニカルエンジニア(ネットワーク),同(情報セキュリティ),基本情報技術者など多数。著書に「短期完全マスター ITパスポート 2009年版」などがある。