日本の自動車開発の強さは「すり合わせ型開発」の巧みさにあるといわれる。個々の機構や部材担当者がうまく連携して調整することで、バランスよく優れた性能や機能を実現する取り組みを指している。
本書は、日産自動車が仏ルノーに買収される以前から、そうした開発スタイルを海外拠点に「輸出」してきた経緯をまとめたもの。当初は仕事が細分化された現地技術者に戸惑ったという。米国流は野球、日本流はサッカーのようなもの、と例えながら現場の苦労を分かりやすく伝える。省エネ車開発の出遅れという課題を抱えている同社ではあるが、日本の技術者の強みを再確認できる興味深いケーススタディーとなっている。
世界の知で創る
野中 郁次郎/徳岡 晃一郎著
東洋経済新報社発行
1680円(税込)