カタログ通販大手の千趣会は2009年を経営の大きな転換点と位置付け、インターネット事業に大きくシフトする次世代戦略を打ち出している。これまでの主力チャネルだった紙のカタログからネット事業に経営資源を大胆に移動させる。CIO(最高情報責任者)に相当する内藤剛志執行役員業務本部長兼業務企画部長は「カタログ通販の常識にはとらわれずに、新しい発想とスピードでネット事業を立ち上げていく」と語る。
千趣会の現行の基幹システムは、2000年に刷新したものだ。千趣会がネット事業に本格的に投資を始めたのはその直後からであり、システム的にはまだまだ課題が多いという。
しかも、長年培ってきたカタログ中心のビジネスモデルが体に染み付いていて、「そこからまだ抜け切れていない」と内藤執行役員は明かす。2009年の最大の課題は「頭をカタログ通販から切り離し、ゼロベースでネット事業を組み立てて、それに合ったシステムを短期開発していくことだ」。
内藤執行役員がとにかく気にするのは、ネット時代に求められるスピードの追求だ。これまでのカタログ通販は1年前から翌年の商品仕込みに入り、ひとたびカタログを発行してしまうと半年間は顧客の手元にカタログがあることを前提に倉庫やコールセンターを運営してきた。だが、この発想はネット事業には通用しない。「もっと臨機応変に、準備期間を短くし、売れる・売れないの判断も早くしなければならない」。カタログよりもはるかに早いサイクルで動く必要がある。その時に、情報システムが足かせになってしまうことだけはあってはならないと内藤執行役員は気を引き締める。
・こまめな報告と定量的な説明を心がけています。断定的にはならず、いくつかの選択肢を提示します。そして何より、明るく話すようにしています
◆ITベンダーに対して強く要望したいこと、IT業界への不満など
・スキルや品質について不満は少ないですが、スピードとコスト面においては満足できないことも多いです。もう少しリスクを取ってもらいたいと思う場面が多いです
◆普段読んでいる新聞・雑誌
・日本経済新聞
・通販新聞
・『ローマ人の物語』(塩野七生著、新潮社)
◆情報収集のために参加している勉強会やセミナー、学会など
・最近はほとんどセミナーなどに出かける機会がありません。ただ、私は情報システムだけでなく、コールセンターや物流も担当しているので、日常的に様々な業界の人とお話ししています。あえて言えば、そこが情報収集の場になっています
・新しいストレスを見つけること