東芝ソリューションは、検索速度を自社比で2倍に高めたXML(拡張マークアップ言語)データベースの新製品、「TX1 V3」を6月に販売した。データ容量が多い、大規模システム向けを狙う。

 TX1は、東芝ソリューションが2005年から投入しているXMLデータベース製品だ。同市場に参入したのは遅かったが、検索の速さを強くアピールして、販売数を伸ばしてきた。現在までの累計販売数は35社である。

 XMLデータベースは、企業で一般的に利用されているリレーショナルデータベース(RDB)より、容易にデータ項目を追加したり変更したりできることが特徴だ。

 「RDBが得意とする領域と、うまくすみ分けて販売してきた。例えば、設計書やマニュアルといった、扱うデータにテキストが多い領域にはTX1が向いている」と、プラットフォームソリューション事業部商品企画部の岩崎元一参事は話す(図1)。

図1●TX1 V3が販売を狙う領域
図1●TX1 V3が販売を狙う領域
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複数のTX1を分散処理

 TX1 V3は同社にとって2年半ぶりの大規模なバージョンアップだ。

 最大の特徴は、検索速度を2倍に高めたことである(図2)。処理効率が向上するようにソースコードを記述し直し、以前に比べて容量を40%縮小した結果、実現できた。

図2●TX1 V3での機能向上ポイント
図2●TX1 V3での機能向上ポイント
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 データ登録の時間も半分に短縮できた。TX1は登録時に、複数種類の索引(インデックス)を自動作成するため、登録に時間がかかっていた。これもソースコードの記述を見直すことで改善したという。

 さらに、複数のTX1 V3で処理を分散できるようにする機能の「Distributed Parallel Search(DPS)」を新たに開発した。1台のTX1 V3では検索時間がかかりすぎて扱いきれない数十テラバイト級の大規模システムでも、従来製品と同程度の検索速度を維持できる。

 「従来のXMLデータベースは、データの増大に伴って検索速度が遅くなった。TX1 V3では分散処理を可能にすることで、データ量が増えても性能が落ちないようにした。スケーラビリティを高めたので、データ量を追加してもTX1 V3を増やすだけでいい」と岩崎参事は話す。

 DPSを実現するには、複数のTX1 V3に処理を割り振るためのオプション機能「TX1コーディネータ」が必要になる。TX1コーディネータに検索要求すると、複数のTX1 V3に自動的に検索要求を割り振る。利用者にとっては、あたかも一つのTX1 V3のように見えるため、使い勝手を損なうことはないという。