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情総研レポート

想像を絶する中国製模倣ケータイ「山寨機」の世界

数百人が一斉に利用できなくなる“時限爆弾”も

2009/08/07 日経コミュニケーション

中国製の模倣携帯端末「山寨機(さんさいき)」が,国境を越え,新興市場を中心にじわじわと侵食・増殖を続けている。正規品の5分の1以下と言われる価格,正規品には無い機能の搭載が売りだが,その一方で,数百人が一斉に利用できなくなるといったトラブルも報告されている。

(日経コミュニケーション編集部)

埋田 奈穂子/情報通信総合研究所 研究員

 携帯市場が飽和し,加入数の伸びが頭打ちになっている先進諸国。一方,世界の新興市場では,現在でも携帯市場の伸びが著しい。中でも中低所得者層に属するユーザーが市場の成長を牽引している。そうしたトレンドに,中国製の違法携帯端末「山寨機(さんさいき)」が一役買っているという,ショッキングな事実がある。

 「山寨」とは中国語で,「山の中の砦」,ひいては「山賊」を指す言葉。政府の支配を逃れて山の中に立てこもり,民衆を襲っては金品を強奪した輩である。ここから転じて,政府の検査をパスした正規端末と異なる非正規品,特にノーブランドの模倣品を,山賊になぞらえて「山寨機」と称するようになった。かつては「黒手機」(=ヤミケータイ。黒は「ヤミ」の意味)とも呼ばれていた。

 要するに安価な「バッタものケータイ」である。しかし単なる大手メーカーのコピーにとどまらず,通常の正規品では見かけない,もしくは実現し得ない機能やデザインや,正規品より長持ちする電池をアピールしたりしている。

 例えば最近,山寨機で主流になりつつあるのは,SIMカードやSDカードが2枚挿入できるデュアルスロット・タイプだという。その他,正規品には無いスタイラスペン(=タッチパネル操作用のペン)を備えた端末や,FMチューナーの搭載,盗撮のニーズに応えるためか望遠レンズを付属する機種もあるようだ。また人形を模したデザインや金ピカなボディなど,いかにも中国人が好みそうなスタイルや,ウケを狙った(ような)外観を取り入れたものも多いのが特徴的ある。

通常6カ月かかる開発を山寨機はわずか45日で

 正規品の端末は通常,新機種の開発に平均で6カ月前後かかるといわれている。社内での設計やプロトタイプの製作と試験を経たのち,中国MIIT(工業・情報化部)下部の検査機関であるCTTL(China Telecommunication Technology Labs:中国泰爾実験室)で,規定の試験を受けることになる。審査基準を満たしたとみなされたものには「進網許可証(ネットワーク接続許可証の意味)」が与えられる。

 進網許可証がない端末の製造・販売は法律で禁じられている。CTTLの審査を受けるのに,通常1機種当たり25万~30万元(約350万円~420万円)の費用がかかる。このほか研究開発費や販売促進費用,付加価値税なども加算されるため,正規品の端末価格は高くなってしまう。

 一方の山寨機の場合は“新機種開発決定”から製品引渡しまでが45日程度と言われている。“新機種開発決定”と“”付きで書いたのは,山寨機メーカーは一般的に中小・零細規模が多く,自社の研究開発チームを擁していないことから,大手メーカーの機種やスペックを「パクる」ことが多いからだ。コストと時間がかかる政府の検査を受けないため,検査費用は発生しない。またCMなどの販促費用や研究開発費用も不要。税金も免れているため,山寨機メーカーは安価に,かつスピーディに,新機種を出荷できるのである。

 この結果,正規品よりもはるかに安い価格で,正規品と似たような機能(時には正規品にない機能や,もしくは上回るような機能)を利用できるのが山寨機である(表1)。

表1●山寨機の製造コスト
出典:New York Times 2009.04.27。標準的な山寨機の場合,製造コストはおよそ40米ドル程度である。さらに安価なモデルの場合,コストがこの半額程度に収まる機種も存在する。
部品価格(USドル)
メインボード(Bluetooth機能搭載) 20.59
2.4インチスクリーン 5.59
筐体 2.35
電池パック 1.47
カメラ用モジュール 1.32
キーパッド 0.88
パッケージ(包装資材) 0.74
充電用アダプタ 0.59
イヤホン 0.44
スピーカー 0.29
マイクロホン 0.29
レシーバー 0.29
バイブレーション機能用モーター 0.29
その他 4.41
合計 39.56

 中国では3Gサービスの本格展開が始まったところであるが,一部では山寨機メーカー向けの3G(TD-SCDMA)端末用LSIが2009年内に発売されるとの報道も出ている。3G山寨機が市場に出回る日もさほど遠くないものと推測される。

 安価ゆえのデメリットももちろんある。品質面での信頼性が低いこと,安全性に問題ありとされるものが多いこと,正規の場所でアフターサービスを受けられないことなどが挙げられる。MIITは2009年3月,山寨機の電磁波がしばしば「規定量を超えている」と注意を呼びかけた。さらには山寨機の電池パックが爆発するといった事故も報告されている。

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