スタートトゥデイグループの法人事業のITを含む戦略責任者、澤田宏太郎スタートトゥデイコンサルティング代表取締役

  「EC(電子商取引)サイトの構築から運用まで支援しているアパレル会社からは、『画面のこの部分を1ピクセルだけ左に動かしてほしい』などといったデザインに強くこだわった要望が出てくる。そこが、この事業の大変さであり、楽しさでもある」。ECサイトの企画開発や運営管理を手がけるスタートトゥデイグループの法人事業戦略責任者であり事実上のCIO(最高情報責任者)の役割も担う澤田 宏太郎スタートトゥデイコンサルティング代表取締役はこう語る。スタートトゥデイは若者向けのファッションECサイト「ZOZORESORT(ゾゾリゾート)」などの運営で知られている。

 澤田氏は、自身を「プレイングマネジャーならぬプレイングCEO(最高経営責任者)だ」と冗談めかして評す。スタートトゥデイの中核法人事業であるECサイト支援事業の戦略責任者として、アパレル各社との交渉に自ら駆け回っているからだ。

 スタートトゥデイコンサルティングはサイトデザインの企画やシステムの運用だけでなく、在庫管理機能、物流機能、カスタマーサポート機能まで提供する。「いわゆるIT(情報技術)ベンダーとは違って、服好きの当社スタッフが働く物流部門やカスタマーサポート部門の機能をサービスとして提供できるのが当社の強みの1つ。誰もがアパレル業界の用語や慣習に詳しいこともあって、コミュニケーションロスが起こりにくい」と澤田氏は話す。

 一般にアパレル会社はサイトデザインへのこだわりが強い。しかし、そうした要望すべてを具現化することが、必ずしもそのECサイトにとってプラスになるわけではない。例えば派手すぎるサイトは使い勝手を悪くし、サイト訪問者の購入意欲をそぐ可能性が高い。10年近くかけて年商数百億円の巨大サイトにZOZORESORTを育て上げたスタートトゥデイには、「デザインと採算のバランスを見極める目がある」との自負がある。ZOZORESORT自体には841ブランドのアパレル会社が出店しており、2010年3月期に370億円分の商品を取り扱い、163億円の売上高を見込む。138万人を超す登録会員の平均年齢は28.0歳である。

 2008年5月に設立したスタートトゥデイコンサルティングは、2009年3月に第1号顧客として、BEAMS(ビームス)のECサイトをオープンさせた(http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/JIREI/20090311/326308/)。6月にはAnd A(アンドエー)とHYSTERIC GLAMOUR(ヒステリックグラマー)のECサイトも開設。さらに、伊勢丹とユナイテッドアローズのECサイトを秋に立ち上げることを発表済みである。これらのうち伊勢丹のECサイトの支援は、スタートトゥデイグループにとって新たな第一歩だ。ファッションへの関心の高い人が好むセレクトショップや個別ブランドとの提携ばかりだった同社にとって、百貨店とのビジネスはこれが初めてである。

Profile of CIO
◆普段読んでいる新聞・雑誌
・繊研新聞
・日経産業新聞。大学卒業後に就職した大手ITベンダーで働いていたころから、十数年にわたって読み続けています

◆仕事に役立つお薦めのインターネットサイト
・ 「ZOZORESORT(http://zozo.jp/)」。自社グループのサイトですが、今の自分の仕事には一番役に立ちます(笑)

◆ストレス解消法
・山に行くことです。毎月のように出かけています。釣りをしたり、川遊びをしたり、山登りをしたり、山でやることはその時によって様々です