竹田 博彦 氏
アビームコンサルティング プロセス&テクノロジー事業部 SCMセクター シニアマネージャー
竹田 博彦 氏

 業務システムを構築する際,個別にソフトウエアなどを開発するのではなく,市販されているパッケージ製品を利用することがある。導入期間やコストを圧縮しやすいことに加え,標準的な業務手順が定義されているため,業務改革にも結び付けやすいためだ。

 とは言え,パソコン用のOfficeソフトをインストールするのとは訳が違う。特に,ERP(統合基幹業務システム)など大規模システム向けパッケージを導入する際には,深い専門知識が求められる。そこで活躍するのが,パッケージ導入コンサルタントである。

 パッケージ導入コンサルタントになって9年目。アビームコンサルティングの竹田 博彦氏は,この仕事の魅力を次のように語る。「コンセプトを語るだけでなく,ITを使って経営の刷新を実現するところまで面倒を見るという意味で,地に足が付いた仕事だと思います」。

 竹田氏自身は学生時代,理系の大学院で土木工学を専攻し,コンクリートを研究していた。つまり,経営もITも専攻していたわけではない。ゼネコンや鉄道会社,官庁に就職するのが普通だが,今の仕事に引かれるものがあった。

 「問題を提起し,仮説を立て,それを検証することが,我々の仕事の本質です。つまり,考えることの面白さがあるのです」(竹田氏)。

大変な苦労の先にある醍醐味

 通常のシステム構築と同様,パッケージ導入も「構想策定」「要件定義」「設計開発」「テスト」「移行」という工程に分けて進められ,稼働に至る。このうち「設計開発」以降の工程は主に入社間もない若手が担当し,経験を積むに従い,「構想策定」や「要件定義」のような「上流工程」を担当するようになる。アビームの場合,要件定義は3~4年目から,構想策定には7~8年目くらいからかかわることが多いという。

 例えば,要件定義フェーズでは,パッケージの標準機能を基にシステムを稼働させ,フィット&ギャップを分析する。フィットとは標準機能がそのまま使えるもの,ギャップとは標準機能とやりたいことに乖離(かいり)があるものだ。

 「ギャップ部分は,我慢するのか,回避するのかなどを顧客と折衝します。一見我慢した方がよいように見えるところでも,よく調べると実は競争力の源かもしれない。それを見極められるかどうかで,我々の力量が問われます」(竹田氏)。

 入社以来,15社程度の顧客を担当してきた。一つのプロジェクトは2~4年くらいが多く,地方への出張も頻繁にあるという。竹田氏は工場に出向くことが多く,生産管理や在庫計画については自信がある。パッケージと一言で言っても「会計」「販売」「人事給与」「物流」など多岐にわたる。「金融」「製造」「公共」「サービス」など顧客の業種も様々だ。コンサルタントは,それぞれ得意分野を持つことが多いのだ。

 人が足りなくて納期に間に合わない,時間をかけて検討した案を顧客の意思決定者に却下されてしまう,明日の午前4時までにデータ移行を終わらせてくれと無理な注文を受ける…。時にはそういうこともある。だが,どうにか稼働にこぎ着けた後,「あなたのことを忘れることは絶対にない」という感謝の言葉をもらえることがある。それが,この仕事の醍醐味だという。

お仕事解説:パッケージ導入コンサルタント

業務パッケージを使って会社を変える

 業務パッケージは,インストールするだけでは使えない。各種パラメータの設定やアドオンプログラムの開発が必要になる。パッケージ導入コンサルタントは,どのようにすれば顧客の業務改革に貢献できるかを考えて,最適解を提案する。また,パッケージ導入には最適な手順が用意されている。そのノウハウを駆使して,スムーズなシステム稼働の開始を支援する。

必要なスキル

  • コンサルティング技法
    分析力,問題解決力。聞く,話す,書くなど。
  • マネジメントのスキル
    作業計画,作業管理,課題管理,品質管理,リスク管理,予算管理など。
  • ITスキル
    業務プロセス設計,パッケージの仕組み,設計/開発のスキルなど。