Q: 部長以上の役職連中がひどすぎて,全く信用できません。

 私は,200人程度の会社でプレイング・マネジャーをしています。私の悩みは,部長以上の役職連中が信用できないということです。無関心な社長,強く言う相手に迎合する専務,社員が悩みを相談しても解決しようとしない事業部長,気分次第で言うことがころころ変わる部長連中…。

 特に部長連中は,ひどい。

  • 部長同士がうわべの協力者となっており,陰でいがみ合っている。
  • 現場を無視して自分の都合がよいように社員を動かしまくり,思うようにいかなければ「おまえらはバカだ」と罵る。
  • 自分の思ったように動かない社員には人間性を否定し,細かい点をいちいち指摘し,理由を問い,自分が納得しなければ罵声を浴びせる。部長以上,専務を含めた連中がそれを制止することなく,その話に乗って責める。
  • 基本社員は客先常駐のため,たまに帰社することがあるが,自分の会社なのに「なんの用?」と迷惑そうに問いかける。
  • なにか口答えでもしようものなら,いつまでも根に持ち,社内処理もしてくれない。

 このような環境に遭遇した時は,気分が落ち込んでしまい鬱になりかけた。このような会社は早々にやめるべきだと思い転職活動までしてみたが,やはり愛着があり離れられない。先にも述べたように,基本客先常駐のためそうそう会話することがないので,現時点では落ち着いているが,私もまだ退職までは時間があるため,上層部が入れ替わらない限り,彼らとかかわらざるを得ない。このような状況を打開するため,カウンセリングを受けたり,周りに相談したりしたが,

  • 社内で同じ境遇の人と愚痴を言い合う
    →すでにいろいろな人にしているが,気分も晴れない。さらに,こんな会社にいる自分に自己嫌悪を覚える。
  • 思い切ってぶちまける
    →そんなことをしても,素直に聞く連中ではないことぐらい認識しているし,それをしたことによるリスクは計り知れない。
  • 会社を辞める

という回答しかなかった。ぜひ,このような状況を打開し,上層部と社員がより良い関係が築けるように解決策をご教示いただきたい。
(ネットワークSE,課長/男性・38歳)

A: SE営業強化で自分の存在価値を高めよ。

 ご質問の内容だけ伺うと,これはもう転職しかないのだと思いますが,それでも愛着があって辞められないとのことですね。私も常駐型の企業を何社も知っていますが,これほど中堅社員に上層部が嫌われている会社は,始めて聞きました。

 この場合,コミュニケーションや接し方を変えて,あなたの上司たちとの関係を好転させるのは非常に困難です。基本が常駐なので会話の機会が少ないですし,無理して時間を作っても,多大な労力がかかるばかりで,あなたの精神状態には良くないでしょう。

 それよりは,彼らがあなたを認めざるを得ない状況を作るほうが,遠回りに見えますが,確実でしょう。彼らがあなたを認める状況とは,あなたが中心となって,常駐先でのビジネスを拡大することです。言わば,あなたがSE営業の中心人物となることです。

クライアントの評価を高めて現在の仕事を確保・拡大する

 私の経験では,常駐型企業の売上の源泉は,現場で頑張るSEたちに対するクライアントからの高い評価による継続的な契約です。これが売上の大半を占めているはずです。また,現場でクライアントから高く評価されているSEは,会社としても「宝」のように大事にするものです。ましてや,その宝を中心にビジネスが拡大していけば,社内では絶対的な存在になれるものです。

 常駐型企業の場合,新規クライアントの獲得は3~6カ月程度かかるのが普通です。ましてやこの不況では,新規案件自体が極端に減少しており,その労力は多大です。それよりは,既存クライアントの現場で,常駐しているSEを起点にビジネスを拡大するほうが,はるかにラクなのです。しかし,それも常駐SE次第,つまりあなたたち次第の話です。あなたの社内での価値/発言力を高めるには,SE営業力を強化して実績を積むことが何よりです。

 常駐型企業のSE営業は,図1の(1)にあるように,クライアントの評価を高めて現在の仕事を確保・拡大するのが基本です。

図1●常駐型企業のSE営業
図1●常駐型企業のSE営業

 そのためには,常にクライアントとのコミュニケーションを図り,課題や要望を聞いて,それらに真面目に対応することです。そのような,常に努力している姿をクライアントに見せ続けることが大事なのです。

 当然,真摯な対応には結果が伴わなければなりません。現場チームの体制,技術力,モチベーションなど様々な障害があるのは重々承知していますが,ここがプレイング・マネジャーとしてのあなたの実力の見せ所です。

 このように常にクライアントと良好なコミュニケーションが取れていれば,図の(2)のようにクライアント内での新規案件も教えてくれるようになります。それらの情報入手に常に努力するのも,SE営業にとって大事な要素です。新規案件情報が入ったら,営業とともに即提案できる体制をとっておくことも当然です。常駐型の場合,一度に数十名の案件は滅多にないので,一人二人の案件でも,真面目に対応することが大事です。

 また,図の(3)にあるように,他社の仕事を奪うのも大事です。この不況で,どの企業でも契約期間が短期化しています。クライアントに不評な企業は,いつでも切られる可能性があるのですが,それをチャンスとして自社で奪ってしまうのです。自社の評判が高くてクライアントとのコミュニケーションがうまくとれていれば,他社の評判の情報も手に入るはずです。他社の契約期間の切れ目にうまく提案しましょう。逆に自社が狙われないためにもクライアントからの評判を高めるのは,基本中の基本なのです。

 以上のような情報収集は,定期的にレポートすべきもので,週報/月報のような形で営業と共有すべきです。さて,どうでしょう。私としてはあなたには転職を勧めますが,あなたが「千里の道も一歩から」と覚悟を決められるのでしたら,以上のようなSE営業強化を試してみてください。