今回も,アルバイトの鶴橋さんとの会話から,6月に売れた書籍を振り返っていきましょう。

「少し間が空いてしまったけど,早川書房から新しい新書のシリーズが創刊されたよ」
「『ハヤカワ新書juice』ですね。新書というには少々お高くて,装丁もちょっとごつい感じ。先端的な翻訳出版を目指すシリーズになるそうです。最初に刊行されたのが『クラウドソーシング』」
「その『クラウドソーシング』と最近注目されている『クラウドコンピューティング』の『クラウド』は違うって知ってた?」
「『クラウドコンピューティング』の方がcloudで,『クラウドソーシング』がcrowdでしょ?どっちも日本人が発音すると『クラウド』になっちゃうっていうのが悩ましいですよね」
「なんだ知ってたのか・・・」

「さて,6月のベストですか」
「ぶっちぎりの1位は,先月から引き続き日経BP出版センターの『クラウド大全』。こっから先の順位は次の通り」

2.WEB + DB PRESS Vol.51 (技術評論社)
3.クラウドコンピューティング (オーム社)
4.プロジェクトコスト見積もり入門 (日経BP出版センター)
5.Google Androidアプリケーション開発入門 (日経BP出版センター)
6.ITILファンデーション (翔泳社)
7.まつもとゆきひろコードの世界 (日経BP出版センター)
8.図解でわかるSaasのすべて (オーム社)
9.単純な脳,複雑な「私」 (朝日出版社)
10.戦略的PMO (オーム社)

「3位の『クラウドコンピューティング』は先月は7位でした。クラウドは,もちろんcloudの方ね。売れるものとそうでないものがはっきりしてきましたね」
「もうさすがに入門的なものが売れる季節は終わったのかなって感じがする。4位に『プロジェクトコスト見積もり入門』が入ってきたのはちょっとびっくり。最近,日本実業出版社の『システム開発「見積り」のすべて』とか,共立出版社の『ソフトウェア見積りのすべて』とかが続けて刊行されから,それだけこのテーマに需要があるんだね」

「5位の『Google Androidアプリケーション開発入門』。Google携帯も発売されて,この手の本も出揃った感じがします」
「秀和システムの『Google Androidアプリ開発ガイド』とか,アスキーの『Google Androidプログラミング入門』とかだね。私としてはもっと勢いを期待していたんだけど,案外大人しかったなあというのが,担当としての正直な感想」
「7位の『まつもとゆきひろコードの世界』は先月も6位で,着実に売れ続けています。それと,9位の『単純な脳,複雑な「私」』って『脳』モノですよね?」
「『脳』モノ,って言葉があるのか? まあ,この分野は相変わらず新刊が続いて出てきていて,日本放送出版協会の『ブレイン・ルール』なんか,意外と売れているしね。今月にはうちの売り場で脳のフェアも企画しているし,とにかく今ホットなジャンルであることは間違いないね」
注:アルバイトの鶴橋さんは架空の人物です。