今回のWindows 7のレビューは前回に引き続き,RC(Release Candidate:製品候補)版で新たに追加された「Windows XPモード」について検証する。前回は「Virtual PC」と「Virtual Windows XP」をWindows 7 RC版にインストールして,Windows XPモードが利用できるところまで確認した。だが,単にインストールしただけでは,Windows XPモードで起動するアプリケーションは「Windows カタログ(Virtual Windows XP)」しかない。そこで,今回はWindows XPモードで動作するアプリケーションを増やす方法を紹介する。また実際に利用して気がついた「Windows XPモード」の問題点についても考察する。
仮想マシンの環境は「仮想マシン」フォルダで設定する
Windows XPモードの実体は「Virtual PC」上の「Virtual Windows XP」である。この仕組みは,前回すでに説明している。したがってWindows XPモードの理解には,その土台となる「Virtual PC」の理解がどうしても不可欠になる。
Windows 7で「Virtual PC」を扱うには,スタート・メニューの「Windows Virtual PC」の中にある「仮想マシン」フォルダを開く。この画面には,仮想マシンを扱うためのコマンドが並び,仮想マシンを起動するためのファイルが表示されている(図1)。ここに「Virtual Windows XP」があり,正しくインストールされていれば,Windows XPモードも同時に利用可能となる。そしてこの「Virtual Windows XP」の設定を変更することで,Windows XPモードをより使いやすくすることもできる。
設定の変更は「仮想マシン」フォルダ内にある「Virtual Windows XP」を選択してから,コマンド・バーの[設定]ボタンをクリックするか,右クリックして表示されるメニューで[設定]を選択する(図2)。そうして表示される設定ウィンドウには,以下の表のような設定項目が並ぶ。
設定項目 | 設定内容 |
---|---|
名前 | 仮想マシンの名前 |
メモリ | 仮想マシンに割り当てるメモリー容量 |
ハードディスク1~3 | 仮想ハードディスクになるファイルの指定。新たに仮想ディスク・ファイルを作成したり,別のファイルを割り当てるなどの変更が可能 |
ディスクの復元 | 「復元ディスクを有効にする」にチェックを入れると,仮想ディスクに行った変更を破棄して元の状態に戻すことができる |
DVDドライブ | ホスト側のDVDドライブが設定される。別にISOイメージのファイルを指定して,ISOイメージをDVDドライブのデータとしてアクセスすることもできる |
COM1~2 | シリアル・ポートを割り当てる。コンピュータの物理COMポートだけでなく,テキスト・ファイルなどを指定して,COMポートからの入力とすることもできる |
ネットワーク | デフォルトでは「共有ネットワーク(NAT)」になっている。コンピュータの物理ネットワーク・カードを指定すると,外部のコンピュータとファイル共有などが可能になる |
統合機能 | 仮想マシンとホスト側のWindows 7とで何を統合するかを決める。デフォルトではスタートアップ時に「クリップボード」「プリンター」「ドライブ」「スマートカード」の統合にチェックが入っている |
キーボード | Windowsキーが押された際の送信先を指定する。「全画面表示のみ」は仮想マシンが全体表示の時のみ受け取る。「仮想マシン」はWindows 7もしくは仮想マシンのうちアクティブな方が受け取る。「このコンピューター」は,常にWindows 7が受け取る |
ログオン資格情報 | ログオンするユーザー名とパスワードを記憶しておき自動的にログオンする |
自動公開 | 仮想マシンにインストールされたアプリケーションをWindows 7から直接起動できるようにする |
閉じる | 「Virtual PC」のウインドウの「閉じる」ボタンがクリックされた場合の仮想マシンの挙動を決める。デフォルトでは「休止状態」。毎回,どのように終了するのか指定することもできる |
今回は,これらの設定項目の中で「メモリー」をデフォルトの256Mバイトから512Mバイトに増やし,「ネットワーク」をホスト(Windows 7)側の物理カードに変更した。「ネットワーク」は,デフォルトで「共有ネットワーク(NAT)」になっており,このままでもインターネットやホスト側のリソースにアクセスすることはできる。だが,外部マシンとファイル共有する場合は,外部と接続している物理カードを指定する必要がある。また「Virtual PC」のウィンドウにある「閉じる」ボタンの設定もデフォルトの「休止状態」から「シャットダウン」に変更してある。「休止状態」の方が次回の起動は速まるが,バックグラウンドで動作し続けている状態がどうも気に入らなかったからだ。
仮想マシンの設定が終了したら,Windows XPモードで利用できるアプリケーションをインストールする作業へと移る。