RFPを作るときに最も重要な項目の一つが,業務要求である。今回は,業務要求の洗い出しと取りまとめ方について解説していく。

 業務要求について詳しく見ていく前に,まずはRFPの基本構造について考えてみよう。RFP(Request for Proposal:提案依頼書)を文書として考えると,その最も基本的な構造は図1のようになる。

図1●RFPの基本構成
図1●RFPの基本構成

 ビジネス文書の「枕詞」ともいえる表紙・挨拶・目次がまずあり,それに続いてRFPの趣旨(目的・背景・狙い)が続く。前回説明したように,趣旨は非常に重要であり,最初に持ってくるのがよい。次に,RFPの基本要素である「何を・いくらで・いつまでに」を具体的に記載する。特にシステムに求める「何を」は,大きく次の三つに分類できる。

(1)業務要求
(2)技術要求
(3)運用要求

 この中で最も重要で,RFPの中心的なコンテンツとなるのが,今回のメインテーマである(1)業務要求である。

開発体制の明記を忘れずに要求

 文書としてのRFPでは上記の「何を」に関する三つの要求の次に,「いくらで」「いつまでに」つまり予算とスケジュールに関する要求が記述される。この予算とスケジュールの記述に関しては今回の連載では説明を割愛させていただくので,興味のある読者は拙書「RFP&提案書完全マニュアル(日経BP社)」を参照いただきたい。

 最後に特記事項がくる。この特記事項に書かれる内容は主に以下のようなものがある。

・提案書作成要領
・提案書提出要領
・事務連絡の窓口,方法,ルール
・開発予定のソフトウエアの著作権
・契約に関する要求
・プレゼンテーションの依頼

 実はもう一つ,RFPにおいて重要な要求がある。それは開発体制に関する要求である。ベンダーがどのような開発体制(開発チームだけでなく会社の支援も含めて)を取るのかは,発注側としてはなるべく具体的に知りたい事柄だ。この開発体制を明記するよう要求することは提案書作成要領で忘れず行いたい。あるいは要求の構造を「3+1」として特記事項から独立させて「何を・いくらで・いつまでに+誰が」という書き方でもよいだろう。

 RFPの基本構造を理解した上で,システムの対象範囲・種類・規模や発注側の事情などを勘案し,応用,変化させていくのがよいだろう。

永井 昭弘(ながい あきひろ)
1963年東京都出身。イントリーグ代表取締役社長兼CEO,NPO法人全国異業種グループネットワークフォーラム(INF)副理事長。日本IBMの金融担当SEを経て,ベンチャー系ITコンサルのイントリーグに参画,96年社長に就任。多数のIT案件のコーディネーションおよびコンサルティング,RFP作成支援などを手掛ける。著書に「RFP&提案書完全マニュアル」(日経BP社)。