軽快に動作するRDBMSとして知られるMySQLの無償版「MySQL Community Server」をWindowsマシンにインストールし,実際に使いながらMySQLデータベースの操作の基本を学びましょう。GUIツールを使った管理と操作についても紹介します。

 前回の「初めてのオープンソース・データベース」では,オープンソースのデータベースの特徴と「MySQL」と「PostgreSQL」の概要を説明しました。今回は,軽快に動作するRDBMS(リレーショナル・データベース管理システム)として知られるMySQLは,オープンソース*1のRDBMSとしては世界でもっとも有名な製品でしょう。もともとスウェーデンのMySQL AB社によって開発とサポートが提供されていましたが,2008年に米Sun MicrosystemsがMySQL ABを買収したため,現在はSun Microsystemsの製品となっています*2

 MySQLには,無償で利用可能な「MySQL Community Server」と,有償でサポートが用意されている「MySQL Enterprise」があります。Community ServerはGNU GPLで公開されているため,MySQLに手を加えて再配布するような場合にはソースコードの開示が求められます。一方,Enterprise ではそのような制限はありません。

ストレージ・エンジンを選択できる

 MySQLの大きな特徴は,複数のストレージ・エンジンを備えていて,その中から用途に適したものを選択できる,ということです。ストレージ・エンジンとは,データを実際に読み書きするコンポーネント(ソフトウエアの部品)で*3,MySQLの場合は表1に示す3種類などが用意されています。データベースの用途に合わせて,機能重視のストレージ・エンジン,高速な読み出しができるストレージ・エンジン,のように使い分けることで,最適なパフォーマンスが得られやすくなります。

表1●MySQLで利用できる主なストレージ・エンジン
表1●MySQLで利用できる主なストレージ・エンジン

LAMPの基盤をなすMySQL

 Webアプリケーションのプラットホームとして「LAMP」という言葉があります。これは,Webアプリケーションを動作させるソフトウエア基盤として,

  • Linux(OS)
  • Apache HTTP Server(Webサーバー)
  • MySQL(RDBMS)
  • PHP/Perl/Python(プログラミング言語)

というオープンソース・ソフトウエアの組み合わせがよく使われることから生まれた言葉です*4。今ではLAMP環境はWebアプリケーションの世界でとても一般的なので,それだけMySQLが利用されているということにもなるでしょう。