米MicrosoftのCEOであるSteve Ballmer氏はパートナ向け年次会議「Worldwide Partner Conference(WPC)」の壇上で2009年7月14日(米国時間),怒りや決意,時にはユーモアを交えてプロモーションを行った。特に強調したのは,現在のように景気が低迷している状況でも同社は積極姿勢を維持するという点だ。同氏はリリースの近い「Windows 7」や「Office 2010」「Windows Azure」を漏れなく話題として取り上げたが,最も面白かったのは,米Googleから前週に公表されたばかりで情報不足の「Chrome OS」についての発言だ(関連記事:Google,新OS「Chrome OS」でWindowsに挑戦)。

 Ballmer氏は聴衆に「誰かこいつの正体を知らないか?」と問いかけた。「私個人としては,Chrome OSというものに高い関心がある。もっとも,1年半程度の期間では完成しないだろう。それにGoogleは(Androidという)OSを発表済みだ。私は,Googleが決断できるかどうかや,どのような問題を抱えるのかといったことなど知らない。ただし,最新情報をみる限り,クライアントOSは2種類も必要ないといえる。1つだけでよい」と述べた。

 Microsoftも「Windows」と「Windows Mobile」という2種類のクライアントOSを販売し,そのうえ両OSに様々なバージョンがあることは,とりあえず忘れてほしい。Ballmer氏がいわんとしたのは,GoogleはOS市場の新参者にすぎないということである。つまり,方針が固まってWindowsの競争相手になるまでに,多くの過ちを犯すというのだ。

 さらに,GoogleはOS市場でMicrosoftの競争相手になりそうもない。例えば,Androidがブームになっていない状況は注目に値する。だがMicrosoftは賢明にも,このGoogleによる脅威を真剣に考えるようになるだろう。筆者も脅威だと思う。現在のパソコンには不満な点がたくさんある。Windows 7はその一部を解消するが,あくまであるべき方向へ一歩進むだけに過ぎないのだから。