パソコン向けOSの主役は,今も昔も米Microsoftである。Googleが話題の「Chrome OS」投入を表明するにあたって意識したのも,もちろんMicrosoftだ。まもなく発売する新OSの「Windows 7」について,企業の主要クライアントOSとしてすぐに普及するのはさすがに難しそうだが(関連記事:IT管理者の6割は「Windows 7に移行する計画なし」),先日実施した先行販売(関連記事:Windows 7を50ドルで格安販売,USBメモリー版の計画もヨドバシ/ビックなど,Windows 7のWeb先行予約を開始)に関しては瞬く間に売り切れるなど,個人ユーザー向けには意外と早く使われていくことになりそうだ。格安だった先行発売をうっかり見逃してしまった人には朗報がある。Microsoftはどうやら,家庭内で複数台数を使っているユーザー向けにファミリ・パックを提供する計画をしているようだ。

Take1:複数本をパッケージした「Windows 7 Family」を準備

 割り引き価格で「Windows 7 Home Premium」を3本買おうと考えている人に朗報だ。米Microsoftでは,ファミリ向けのパッケージ製品「Windows 7 Family Pack」の販売を準備しているのだ。米Appleが数年前に「Mac OS X」で提供したパッケージ(ライセンス数は5本で割安な価格設定だった)と同様に,Windows 7 Family Packは140ドル程度になるらしい。

 当然これは適切な判断である。ただし,「Windows Vista」を発売した3年近く前でも同じように適切な判断だった。結局のところ,Microsoftは「革新」的なことを「何1つ行えない」企業だ。

Take2:「『Chrome OS』を決心したのはMicrosoftのせい」,GoogleのCEO

 GoogleのCEOであるEric Schmidt氏の口ぶりから,同氏がOSを自作するという社内の動きに6年間も抵抗し続けてきたことが分かる。そこまで反対していたのに,何が同氏の気持ちを変えたのだろうか。同氏によると,Googleを共同で立ち上げたSergey Brin氏とLarry Page氏の熱意に折れた結果という。さらに,日々の仕事で使うOSにも飽きていたそうだ(実のところ,このOSとはWindowsだ)。

 Schmidt氏は「まさに降参していた」と,同氏がCEOとして米Novellを率いていている間に手をさしのべてきた米Microsoftに対して,自社製OSで攻撃するということを失念していたとする。同氏は「ただし,私が(Webブラウザ)『Chrome』と『Chrome OS』を強力にバックアップすることに疑いなどない。ChromeとChrome OSはITを変えるのだ。パソコンに対する考え方も変わる」としている。

 面白いことに同氏は,実現の可能性はほとんどないものの,Microsoftが望むならChrome OSに「Internet Explorer」を移植しても構わないとして,「ボールはMicrosoftの側にある」とまで述べた。何という思い上がりだろう。