近年ジリジリと市場シェアを落とし始めたとはいえ,世界で一番利用されているWebブラウザは「Internet Explorer」である。そしてWindows 7では,その最新バージョンであるInternet Explorer 8(以下IE8)を標準で搭載する。ところが,そのIE8を削除するという機能が,RC版には新たに組み込まれている。今回のレビューは,こうしたWindows 7に搭載されている「アプリケーション」について,ベータ版とRC版の違いを検証してみることにする。
RC版ではIE8の削除が可能に
最初にWebブラウザの違いから検証してみよう。ベータ版のIE8は,まだバージョンに「Beta」という表記が残っていた(図1)。だが,3月にIE8の正式版が発表されたこともあって,RC版ではBetaという表記はなくなっている。10月に発売予定の製品版には,この正式版IE8が搭載されるはずである。ただ,これは米国や日本での話であって,必ずしもそうではない国が現われるかもしれない。
ご存知の読者も多いと思うが,かねてより欧州委員会は,マイクロソフトがWebブラウザ付きWindowsを発売することに反対の立場を貫いてきた。これは,OSにブラウザがバンドルされていると,他のブラウザとの正しい競争が阻害されるという考えからだ。そこでマイクロソフトは,Windows 7にIE8の削除機能をつけ,さらに欧州向けのWindows 7には,IE8を搭載せずに販売することを,公式なブログで発表した。この「IE8を削除する機能」が,RC版では確認できる。
IE8を削除するには,コントロール・パネルの「プログラムのアンインストール」を選択して「プログラムと機能」の画面を表示し,タスク欄にある「Windowsの機能の有効化または無効化」をクリックする。すると「Windowsの機能」という画面に,ベータ版には存在しなかった「Internet Explorer 8」や「Media Features」といったチェック項目を見つけることができる(図2)。
ここで「Internet Explorer 8」のチェックを外してみると,いくつか確認ダイアログを表示した後に,再起動を求められる。そして再起動後には,見事にIE8のアイコンがタスクバーやスタートメニューから消えている(図3)。
もちろんこのままでは不便なので,もう一度「Windowsの機能」を開き「Internet Explorer 8」のチェックを入れてみると,特にインストールディスクを要求されることもなく,再び再起動してIE8は復活する。どうやら「削除」といっても,単に呼び出せなくしただけで,ファイル自体は削除していないようだ。考えてみればInternet Explorerは,他のアプリケーションやコンポーネントも利用しているので,ファイル全体を削除するのは影響が大きすぎるのだろう。ただこの方法で果たして欧州委員会は許してくれるのだろうか。今後もこの削除項目には,注目する必要があるだろう。