2008年度の携帯電話純増数が約100万件と,KDDIを抜いて純増シェア第3位に躍り出たイー・モバイル。今年度も,3月末時点で約140万の累計契約者数に,約100万契約を上乗せするという目標を掲げている。

 そんな同社の純増数を大きく支えているのが,データ通信カードとネットブックのセット販売,いわゆる「100円PC」である。同社のエリック・ガン代表取締役社長兼COOは,2009年5月14日に開催した決算会見の席で,「(セット販売を開始した2008年7月以降),データ通信カードとネットブックのセットが純増数に占める割合は約50%」という事実を明かした。さらにセット販売のユーザーの約1割は,トラフィックがゼロだという。

 そもそも100円PCは,かつての「1円携帯」と同じからくりで生まれた。店頭での販売価格を抑える代わりに,通常よりも割高な専用プランの2年契約が必須となる。これによって購入時のネットブック割引価格を補う形だ。そのため,いくら価格が100円だったとしても,通信機能が必要なければ,支払総額はネットブック単体を購入するよりも高くなる。

 「他社のようにコストをかけて音声端末を開発することは体力的にできない。今年度もデータ通信カード中心でいく」(ガン社長)。同社の純増数に占めるセット販売の割合は,さらに拡大しそうな勢いだ。しかし前述のように,通信機能を全く使わないユーザーは少なからず存在する。通信機能を使わないユーザーの中には,実はトータルで割高な金額を支払うことになるという事実に気付かずに,「100円」に釣られてネットブックを購入しているユーザーもいるのではないかとの懸念も残る。