最後に,UPSの管理性と可用性を高める工夫について触れておこう。UPSはこれまで,各サーバー(またはストレージ機器など)に1台ずつ設置することが多かった(図5上)。ところがこの構成だと,複数のサーバーがあったり,外部ストレージを接続していたりすると,UPSの数は途端に増加。こうなると,バッテリー交換や故障の確認などメンテナンスが煩雑になるほか,UPSのどれか一つが壊れるとシステム全体に影響してしまう。

図5●管理性と可用性を高めるUPSの配置例<br>管理性を向上させたいなら,PDUを利用して1台のUPSに複数の機器を接続する構成を取る。可用性を向上させたいなら,内部モジュールを冗長化したUPSを利用したり,電源を2系統にしたりする
図5●管理性と可用性を高めるUPSの配置例
管理性を向上させたいなら,PDUを利用して1台のUPSに複数の機器を接続する構成を取る。可用性を向上させたいなら,内部モジュールを冗長化したUPSを利用したり,電源を2系統にしたりする
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 そこで注目されつつあるのが,エーピーシー・ジャパンなどが推奨する,1台のUPSでシステム全体をカバーする構成だ(図5中央)。こうすれば,管理性は格段に向上する。最近では「PDU(パワー・ディストリビューション・ユニット)」というUPSを拡張する製品もある。これはUPSを管理したり,ログを取ったりする機能を備える。自動シャットダウン/起動といった機能も持つ。管理性をより高めるために有効だ。ただしUPSを1台にすると可用性が低下するので,これを解消するために,内部モジュールを冗長化した製品を選ぶ必要がある。

 可用性をさらに高めたいなら,商用電源をA電気事業者とB電気事業者など2系統に分ける(図5下)。多くのデータセンターが取り入れている方法だ。この場合,サーバーやストレージ機器には電源を2重化したものを選ぶ。2系統の電源を利用して別々のUPSとPDUを経由させれば,電源に関する可用性はほぼ万全といえる。