UPSの最大の使命は,コンピュータ機器を正常にシャットダウンするために,その間の電気を供給することだ。いわば,電気の“量”を制御することにある。シャットダウン操作自体は人が行うことが多いので,その操作にもたつけばシャットダウンが完了する前にUPSからの電気の供給が途絶えかねない。そこで最近は,UPS側でサーバーをシャットダウン/起動できる機能を備えるようになった。

 自動シャットダウンと,復電後の自動起動の流れを図2に示した。停電が起こった場合UPSは,サーバーにインストールしたエージェント・ソフトに,ネットワークを介して停電状態になったことを通知する。通知を受けたエージェントは,サーバーのシャットダウンを実行する。シャットダウンの完了までにかかる時間はサーバーによって異なるので,その時間を見越し,UPSに対して電気の供給を止める順番と時間間隔を設定しておく。エンタープライズ向けのUPSは,個々の電源プラグ,あるいは複数の電源プラグのグループに,電源の切断(および投入)の順序と時間間隔を設定できる。

図2●自動シャットダウンと自動起動の流れ<br>エンタープライズ向けのUPSでは,設定ファイルに基づく自動的なシャットダウンや起動ができる。この機能を使えば,停電になっても自律的な復旧が可能となる
図2●自動シャットダウンと自動起動の流れ
エンタープライズ向けのUPSでは,設定ファイルに基づく自動的なシャットダウンや起動ができる。この機能を使えば,停電になっても自律的な復旧が可能となる
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 復電後の自動起動は,基本的には指定された順番と時間間隔で電源投入するだけである。たいていの場合,ネットワーク機器,ストレージ機器,サーバーの順に起動させることになる。サーバーなどは,あらかじめBIOS設定で電源投入時にOSを起動するようにしておく。