モバイル向け広告代理店大手のライブレボリューション。同分野では3強として、インターネット広告代理店大手のオプトやセプテーニと肩を並べる存在だ。社員同士で決める給与評価システムなど、ユニークな経営手法を展開することでも知られる。増永寛之社長に、社員第一主義をベースとした「宇宙一愛される経営」について聞いた。(聞き手は島田昇=日経コンピュータ)

モバイル向け広告代理店事業は競合も多い。ライブレボリューションの差別化要因は何か?

 当社は、広告主が携帯電話向けコンテンツに出稿する純広告やアフィリエイト広告、リスティング広告などを配信する仲介業を手がけている。費用対効果を重視していることや、一顧客に対してチームでアプローチする営業スタンスなどが高い広告効果を生み出すことから、顧客満足度は高いと思う。実際、継続して取引している顧客が多い。

 広告効果を測定する「アドカウンター」も重要だ。ただ、これはツールでしかない。やはり本当の競争力は、ツールを使いこなしている当社の営業担当者たちである。

 競合他社は広告営業について、「広告をとったらレポートを出して終わり」と考えているのではないか。当社は広告営業は運用だと考えている。当社の営業マンは顧客の広告効果を毎日測定している。その反応を見て、より効果的な広告掲載を探り続けている。

 こうした考えは、私の証券マン時代の経験に支えられている。証券マンは資産運用という考えがあるにもかかわらず、株を売って終わり、買って終わりの世界。資産運用という考えを持っている証券マンは少ないのではないだろうか。当時、それでは駄目だと常々感じていた。広告営業も同じで、とって終わりの世界では駄目。広告の費用対効果を上げ、顧客満足度を高めることが信用につながり、業績拡大につながる。

業績はどうか。

 毎月過去最高を記録している。倍々ゲームというわけではないが、当社の社員数は2005年に50人だったのが、2009年は40人に減っているだけに、非常に頑張っていると思う。一人当たりの仕事量が多く、生産性も高い。

営業ノルマがないほうがもうかる

 当社にはノルマがない。そのほうがもうかると思っているからだ。

 これも証券マン時代の経験だが、ノルマがあるとプレッシャーになる。「やらなきゃ」と考えている時間は積み重なると結構な時間になり、休日が終わるころには「会社に行きたくない」と思うようになる。モチベーションが下がり、仕事の効率は下がる一方だ。だから、「そんな無駄なことをしているのは意味がない」と思っていた。自分が会社をつくったら、ノルマは設けないと決めていた。

 モチベーションがある人は、やるべきことはやるし、やりたいことを見つけられる。また、ノルマがあると顧客に迷惑もかける。顧客が買いたいものを売るべきところを、ノルマがあると売りたいものを売ってしまう。しかし、顧客が求めているものさえ売れば、リピートしてくれるようになる。業務効率も上がる。