病気にかかった子供の保育を請け負うサービスを提供する特定非営利活動法人(NPO法人)フローレンス。同法人の社内システムは、米セールスフォース・ドットコムのSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)で構築・運用されている。運用負荷が軽減されるだけでなく、CRM(顧客関係管理)の機能が、会員である保護者と、保育者とを結びつける仕組みに合致していた。

図1●フローレンスのホームページ
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 フローレンスが提供しているのは、急に熱を出したり軽い病気になったりした子供を預かる「病児保育」と呼ばれるサービスである。通常の保育サービスでは、病気になった子供は預かってもらえないことがほとんど。そのため、共働きの家庭や母子家庭では、子供が病気になってしまうと、母親や父親が仕事を休まなければならない。

 こうした状況に対し、フローレンスは、「女性が社会進出するうえで、不利な条件になってしまう恐れがある」(こどもレスキューネット事業部の大西芙美コーディネーター)と考える。そこで、子育てと仕事の両立を支援する目的で、病気の子供を預かるサービスを提供している(図1)。

朝8時までの保育依頼には100%対応可

 サービス提供地域は現在、東京23区内。6月11日時点で、760人、668世帯が会員登録している。会員は前日夜か当日早朝にメールでサービス利用を申し込む。メールを受け取ったフローレンスの担当者が、だれをどの会員の自宅に向かわせるかを決め、電話でそれを指示する。朝8時までの申し込みであれば100%対応が可能だという。

 実際に子供を預かって面倒をみるのは、「こどもレスキュー隊員」とよばれる保育スタッフである。育児経験があるか、保育士やベビシッターの経歴、保育現場での実務経験を持つ人たちだ。現在27人がおり、こどもレスキュー隊員として働いている。

写真1●こどもレスキュー隊員による保育の様子
写真1●こどもレスキュー隊員による保育の様子

 会員宅に出向いたレスキュー隊員は子供を預かり、まずかかりつけの小児科医を受診する。その上で会員の自宅か、レスキュー隊員の自宅で17時30分まで子供の面倒をみる(写真1)。別料金で20時までの延長も可能だ。

 NPO法人であるフローレンスには、サポート隊員と呼ばれる支援者もいる。彼らは、フローレンスの事業方針に賛同し毎月数千円を寄付することで、活動をサポートする。