J-SOX(日本版SOX法)の適用が2年目に突入、初年度を乗り切った企業を対象に「J-SOX対応の効率化」をうたった製品やサービスが登場している。2年目以降も毎年続く「内部統制の有効性の評価作業」を支援する製品・サービスが多い。

 サン・プラニング・システムズ(SPS)が2009年6月2日に「J-SOX対応2年目以降に役立つ」とした製品を発売した。日立ソフトウェアエンジニアリングも4月14日に同様の製品を発売した。両社ともJ-SOX適用初年度から販売する製品の機能を強化している()。

表●J-SOX2年目以降の有効性評価の負荷軽減をうたった製品・サービスの例
表●J-SOX2年目以降の有効性評価の負荷軽減をうたった製品・サービスの例
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 SPSの「ICM Suite ver2.0」と日立ソフトの「iCOT Assistant Ver.02-02」は、いわゆる文書化ツールと呼ばれる製品だ。J-SOX対応で作成する業務フロー図やRCM(リスク・コントロール・マトリックス)といった文書の管理機能を以前から持っていた。

 両製品の強化ポイントは、J-SOX対応で2年目以降も毎年発生する、有効性評価作業の支援機能の拡充だ。業務フロー図やRCM作成の工数削減が企業にとって初年度の課題だったが、2年目以降は評価作業の負荷軽減が課題になるからだ。

 有効性評価は、外部監査人が内部統制の有効性を判断する際の材料となる重要な作業。一方で、業務や組織の変更に伴って評価の基礎となる文書の管理が煩雑になったり、評価作業を担当できる人材が少なかったりと、効率化が難しい作業である。両製品とも機能強化により、こうした企業の悩みの解決を打ち出す。

 ICM Suiteでは、内部統制の有効性を担当者自ら評価する「CSA(コントロール・セルフ・アセスメント)」を支援する機能を追加した。評価作業中に担当者同士が情報を共有するための掲示板機能も加えた。

 iCOT Assistantは有効性評価の結果から、外部監査人向けの文書を作成できるようになった。

 製品だけでなく、評価作業自体を請け負うサービスも登場している。TISが4月1日から提供する「内部統制評価効率化支援ソリューション」は、評価作業の代行をメニューの一つに掲げている。TISは「評価作業が集中する繁忙期だけ、担当者を派遣することも可能」とする。

 TISは評価作業の代行サービスのほかに、評価対象自体を削減するコンサルティングも提供。初年度に整備・運用した統制(コントロール)数を見直すことで実現する。

 TISに先がけてアビームコンサルティングも評価作業の代行を2月から始めた。アビーム各国の支社を通じて、J-SOX適用企業の海外子会社にも同様のサービスを提供する計画だ。

 アビーム社会基盤・サービス統括事業部の吾郷周三ディレクターは、「評価作業専任の担当者を育成し、コンサルタントの通常の単価よりも安く、評価作業の代行ができる」と説明する。アビームが提供する通常のコンサルティングと比較して20~30%安くなる見込みである。