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Web技術が開放する携帯アプリ市場

日経コミュニケーション

[1]ウィジェットが携帯電話のあらゆる機能を制御

2009/06/22
松元 英樹=日経コミュニケーション
出典:日経コミュニケーション 2009年5月15日号  pp.22-23
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

 携帯電話の待ち受け画面から,ワンタッチの操作で起動できる。アプリケーションは事業者やメーカーを問わず,どの端末でも稼働し,既存の携帯アプリと同様に,GPS(全地球測位システム)やカメラなど携帯電話に搭載された各種の機能と連携する。しかも,それらは世界中のWebマーケットで入手できる──。

 携帯電話の世界に,こんな環境をもたらす新潮流が押し寄せている。その核になるのはWeb技術,つまりJavaScriptなどを使ったウィジェットWebアプリだ。特にウィジェットは,新機能として業界で注目を集めている。

 今後の新しい携帯電話向けウィジェット/Webアプリの特徴は,カメラやGPSなど携帯電話の機能やアドレス帳など各種データが扱えることである(図1)。ウィジェットは専用の実行環境,WebアプリはWebブラウザ上で稼働する。このウィジェット実行環境やWebブラウザの中核システムであるWebエンジンが,端末の各種機能や記憶領域にアクセスする機能を持つ。いわば,ブラウザが携帯電話機のOSの役割を果たすわけだ。

図1●携帯ウィジェットで既存サービスの特徴を融合
携帯ウィジェットは「画面を開くとすぐに目に入る」,「携帯電話の機能やデータを活用できる」,「手軽に開発できる」という特徴を併せ持つ。国内の携帯電話事業者がウィジェットを投入しているほか,海外で統一規格を策定する動きもある。
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世界中で携帯ウィジェット採用が活発化

 国内では既に,携帯電話向けのウィジェット(携帯ウィジェット)が提供され始めている(図2)。2007年12月にKDDI,2008年11月にソフトバンクモバイルやNTTドコモがウィジェット機能搭載の携帯電話を投入した。KDDIとソフトバンクのウィジェットはJavaScript,NTTドコモはJavaを実装技術として採用した。

図2●携帯電話のウィジェットに関する国内外の動き
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 海外でも事業者や端末メーカーなどが携帯ウィジェットに熱い視線を送っている。2008年4月には,ソフトバンクや中国移動(チャイナモバイル),英ボーダフォンがウィジェットの標準方式の策定を目指すJIL(ジョイント・イノベーション・ラボ)を設立した。

 さらに動きを加速させそうなのが,2009年2月に第1版の仕様が固まった「BONDI(ボンダイ)」である。携帯ウィジェット仕様の本命とも見られるもので,米AT&T,仏オレンジ,スペインのテレフォニカ,ノルウェーのテレノール,英ボーダフォン,ドイツのT-モバイルなどが集まる業界団体OMTPが策定した。

 BONDIの特徴は,JavaScriptを中心とする標準的な技術をベースにしている点。携帯電話事業者や端末メーカー,端末プラットフォーム・ベンダーによる採用が進めば,まさに世界中の端末に共通の携帯アプリ市場を生み出せる。しかも,既存の携帯アプリよりも開発が容易になり,開発者のすそ野がぐんと広がる。

「分かりやすさ」を武器に

 携帯電話事業者がウィジェットに注目する背景には,ARPUの向上につながるという考えがある。定期的な通信が発生する携帯ウィジェットを利用すれば,ユーザー一人当たりの通信量は着実に増える。しかも待ち受け画面などで簡単に最新情報を確認できるため,これまではメール程度しか利用しなかった初心者層にも新機能として訴求しやすい。

 ソフトバンクモバイルの対応機種では,購入後に端末を起動すれば,その時点で待ち受け画面に携帯ウィジェットが並んでいる。ユーザーがタッチパネルなどの操作でウィジェットに触れると“通信が発生します”という旨のメッセージが現れて,同意すれば利用開始となる。「これは何だろう,と視覚的に気付きやすいようにウィジェットを配置している。待ち受け画面に表示できるという分かりやすさで支持されている」(ソフトバンクモバイル プロダクト・サービス本部開発統括部通信プラットフォーム開発部の難波伸司担当課長)という。従来も,待ち受け画面にニュースを表示するなどのサービスはあった。ウィジェットはそれを,機能の多様性という携帯電話の特性と掛け合わせ,進化させたものと言える。

 一方,携帯電話を通して製品やサービスをアピールしたいと考える企業にも,携帯ウィジェットは強力なツールとなる。「携帯電話はユーザーに一番身近なところに置かれた機器。しかも,待ち受け画面という特等席に情報を配信できるのだから,企業のプロモーションに最適な媒体となる」(ウィジェット開発会社アップフロンティアの花本浩代表取締役社長)。例えば,新型の自動車をイメージしたウィジェットが販売イベント情報を伝える,Webサイトに誘導するためにユーザーに届いた新着メッセージを伝えるといった具合だ。

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